「店は舞台、スタッフは演者」対面販売が強みの鮮魚店

スーパーでは見かけない珍しい魚が並ぶ

 天満で4代続く鮮魚店「お魚屋さん かぎや」が9月30日、リニューアルオープンした。白を基調とした明るい店内に、全国各地から取り寄せた旬の魚介類が所狭しと並ぶ。一般的なスーパーでは見かけない珍しい魚も多い。その訳は、市場はもちろん、漁港の仲卸業者と直接取引し、仕入れを行っているからだ。

 「スーパーで売られている魚とは鮮度が全く違います」と自信を見せるのはフィッシュアドバイザーの大畠丈典さん。北新地の有名和食店や高級フレンチ店の料理人が「他にはない素材」を求めて連日買い付けに訪れる。

「ファン」が付く接客

 商品にこだわる一方で、4代目の鍵谷能成社長は「店は舞台、スタッフは演者、提供するのは最高のエンターテインメント」をコンセプトとし、「買い物が楽しくなる店づくり」に力を入れる。

 同店スタッフのバックグラウンドは実に多彩だ。イタリアンのシェフ、芸人、アパレルのパタンナー、主婦と個性豊かなスタッフによる対面販売が強みで、一人一人に「ファン」が付いている。

 同店が堅苦しい鮮魚店ではなく、「面白さ」を打ち出すのは急速に進む「魚離れ」への危機感がある。農林水産省の調べでは、食用魚介類の1人1年当たりの消費量は2001年度の40.2kgをピークに22年度は22.0kgまで減少している。

 そこで同店では、新鮮な魚を子どもにプレゼントし、家族が協力してさばき、料理して食べるイベントなどを定期的に開催している。「未来を担う子どもたちに、魚を身近に感じ、好きになってもらいたい。家庭の食卓でおいしい魚を食べる幸せを提供したい」と語る鍵谷社長の目は輝きを増している。

来店客の要望に合わせ、魚の処理・加工も行ってくれる
活きの良いスタッフが勢ぞろい

■天満市場 お魚屋さん かぎや/大阪市北区池田町3-1 ぷららてんまB1階/電話06(6353)0031/営業8:00~16:00(水~15:00、日~13:00)