大阪「ヒガシ」地価急伸の背景 都心高騰で東進 〝面〟開発への期待も

 国交省が発表した2026年公示地価で、大阪の「ヒガシ」エリアの上昇が目立った。とりわけ城東区、東成区はキタ・ミナミに近い都心部と遜色ない伸びを示した。大阪公立大の校舎新設を要因とする見方が広がるが、地元不動産業者は「それだけではない」と指摘する。ヒガシの地価高騰に迫った。(佛崎一成)

 大阪城公園の南東に位置する森之宮。同地域に60年以上根ざす森之宮不動産。同社の統括マネジャーで、大阪府宅建協会中央支部の青鳩会部会長を務める西本仁尚さんは、今回の地価上昇について「大学開校はきっかけの一つに過ぎない」と話す。
 一般には「公立大の新校舎の新設で、学生や教授の住宅需要が増した」と言われるが、西本さんによると「近大や阪大のようなマンモス校と違い、新校舎は最終的に6000人規模となるがインパクトは限定的」と説明する。
 では、何が地価を押し上げているのか。西本さんが強調するのは、箱物の「点」ではなく、森之宮エリアで進む「面」の開発という。
 実際、公立大の新校舎開設の後には、地下鉄中央線を北へ分岐する新線(約1・1㌔)が整備され、28年春に大学側に森之宮新駅が開業。同駅には駅ビルや空飛ぶクルマの離発着帯も計画されている。駅ビルの南側には1万人規模のアリーナも計画され、「かつてはゴミ焼却場などで停滞していた土地が、クールジャパン戦略の拠点に変貌しようとしている。この期待感の質が以前とは違う」と話している。
 さらに、面の開発は中央大通の南にまで広がる。17年に移転した府立成人病センター跡地をはじめ、公衆衛生研究所や動物管理指導所のあった場所は健康・医療・教育を核にしたまちづくりが進められる予定だ。

高騰する都心の代替

 もう一つの大きな要因は、キタ・ミナミの地価高騰による需要の東進だ。 「これまで都心部のマンションが人気だったが、すでに普通の会社員には手が届かない。このため、交通至便でありながら相対的に値頃感のあった東成・城東エリアに注目が集まった」と分析する。
 実際に購入の動きも顕著だ。共働きでのペアローンや50年ローンの普及で、西本さんのもとには「将来値上がりしたら売ればいい」と割り切り、夫婦で1億円近いローンを組む若年層の相談が相次いでいるという。「子どもは一人まで」とライフプランを固定し、住環境への投資を優先する層にとって、森之宮周辺の再開発は絶好の投資先と映っているようだ。

京橋方面のアクセスも

 ヒガシの再開発では、京橋方面へのアクセス改善も注目されている。現在は公立大から京橋方面への道路は、寝屋川に架かる鴫野橋あたりから狭くなっている。西本さんは「新たな橋の架橋計画もあり、アクアライナーなどを活用した川の駅の構想も進んでいる。エリアの回遊性は劇的に向上する」と期待している。
 「これまでは『都心に近い便利な場所』という評価だったが、今後は歴史・文化・教育、そしてエンターテインメントが融合する大阪でも唯一無二のエリアになるはずだ」と話している。

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