「良い人材が採用できない」「若手が育たない」「管理職がプレイヤー化して現場が回らない」。人手不足が深刻化するなか、中小企業の経営者からこうした声が絶えない。
こうした声を受け、〝中小企業に特化した学校〟として45年・累計6万3千人超の育成実績を持つ中小企業大学校関西校(中小機構運営)が、2026年度「次世代リーダー育成」を重点テーマに研修を拡充した。企業の実情や研修の需要について、同機構近畿本部 人材支援部人材支援課の千代森直希主任に話を聞いた。

―受講の申込は増えているか。
はい、明確に増えています。
若手・中堅層を対象にした階層別研修の応募数は2023年度を基準に、24年度は約1・53倍、25年度はさらに約1・42倍と増加が続いています。年代別では20代が約1・31倍、30代が約1・18倍、40代が約1・15倍(いずれも23年度比)と、30代・40代を中心に、中堅層までの受講者が増えています。
「リーダー層を早期に育てたい」「次世代のために早めに手を打ちたい」という、中長期的な視点を持つ企業が増えていると感じています。
―現場でよく聞く課題は何か
毎年実施している企業ヒアリングでは、半数以上が「人手不足」「組織マネジメント」の課題に言及します。「管理職がプレイヤー化して、マネジメントに手が回らない」「若手が育たない、定着しない」「良い人材が採用できない」といった、業種や規模を問わず共通した悩みです。
最近は生成AIを人手不足の解決手段として活用したいという関心も高まっています。
―その課題を背景に、26年度に「次世代リーダー育成」を重点テーマにしたのか
現場ヒアリングで強いニーズを直接把握したことが最大の理由です。
マネジメント対象の多様化(年上の部下、Z世代、外国籍社員など)、IT技術の進化や地政学リスクなどの外部環境変化のスピード加速、そして中小企業特有の「全体を見渡せる人材不足」。この3点が重なり、より早い段階から体系的に学ぶ必要性を感じました。
大企業と違い、中小企業では1人何役も求められます。将来の幹部候補であっても「経営全般のトレーニングを受けていない」方が多いのが実情です。そこで今年度は、若手リーダーから管理職まで段階的に学べる階層別プログラムを強化しました。

―受講企業や受講者から、どのような声が届いているか
受講者からは「管理者はできる人がなるものだと思っていたが、なってからスキルを学ぶことで誰でもできるようになると気づいた」「自分だけだと表面上の解決しかならない部分を、グループワークを通じて一歩突っ込んだ考え方を聞くことができた」といった声が届いています。
―「忙しくて育成まで手が回らない」という経営者も多い
育成を後回しにすることで、業務や判断が特定の人に集中し、忙しさがさらに増すという悪循環に陥りがちです。人材育成は「余裕ができたらやるもの」ではなく、「やらないといつまでも余裕が生まれないもの」だと感じています。
人手不足の時代だからこそ、人を育てる企業が選ばれ、生き残っていく。その流れは今後ますます強まっていくと思います。
―最後に一言
中小機構では今年、「中小企業の価値を、日本の原動力に。」という新たなコーポレートメッセージを制定しました。中小企業の成長に欠かせないのは、そこに集う社員の成長。中小企業に特化した人材育成の場として、関西校をご活用いただければと思います。
中小企業大学校関西校の26年度研修 詳細・申込は公式サイト(https://www.smrj.go.jp/institute/kansai/index.html)へ。人材育成の無料相談も受け付けている。 問い合わせは中小機構 近畿本部 人材支援課 06(6264)8618。
