金・銀・銅、驚異の最高値 輝く「安全資産」に資金殺到

 金銀銅の価格上昇が止まらない。トランプ外交への不安から安全資産へ資金が流れ込み、金は1㌘2万6000円の最高値を更新。AI需要も重なりメタルの独歩高が鮮明になっている。

金のイメージ(写真AC)

金・銀・銅がそろって最高値

 金、銀、銅の主要金属価格がそろって過去最高値を更新し、世界的な「メタル買い」の様相を呈している。田中貴金属工業(東京)の金小売価格は1月21日、1㌘あたり2万6191円と驚異的な高値を記録した。背景には、激化するトランプ米政権の「領土外交」や根強いインフレ懸念があり、投資家の資金が安全資産へと激しく流れ込んでいるようだ。 (竹居真樹)

金1㌘2万6000円超え、五輪メダルも「37万円」

 2月6日に開幕を控えるミラノ・コルティナ冬季五輪。選手が目指す「栄光」の価値も、素材の面から様変わりしている。かつては「金」のみで作られていた「金メダル」も、現在は規定で「銀の土台に6㌘の金メッキ」を施すのが主流だ。現在の金属相場で計算すると、1個あたりの素材価格は約37万円。一昨年のパリオリンピック時の約2倍にまで跳ね上がっている。

トランプ外交が招く「通貨売り・メタル買い」

 メタルバブルの要因は深刻化する地政学リスクだ。米トランプ大統領がデンマーク自治領であるグリーンランドの領有を巡って、欧州諸国へ関税圧力を強めるなど国際情勢が緊迫。現金への信頼が揺らぐ中、「通貨売り、メタル買い」の動きが加速している。
 大阪市内の貴金属店でも100㌘の金塊が260万円超。北区に住む70代の男性投資家は「昔は1㌔数百万円だったが、今は2600万円超えで家一軒分に近い。これでは手が出ん」と苦笑い。心斎橋の買取専門店で古い指輪を手放した大阪市内の60代主婦は「物価高でスーパーの買い物もためらう時代だけど、若い頃に買った『金』が助け舟になった。売ったお金で食費と孫のお小遣いに当てようと思う」と話していた。
 北区の出版社に勤める40代の男性会社員は2022年6月から、毎月1万円を金に積立てている。「これまでに積み立てた額は43万円だが、今の評価額は97万円。50万円以上の含み益が出ている。特にこの半年で36万円も大きく増えた」と話す。

「不安の金」と「期待の銅」

 一方、「金」と同様に最高値を更新した「銀」と「銅」には、別の顔がある。銀はAI(人工知能)のデータセンターや太陽光パネル向けの需要が爆発し、昨年比2・4倍に急騰した。景気の先行指標として「ドクター・カッパー(銅博士)」と呼ばれる銅も、電気自動車(EV)や送電網の拡充を追い風に値を上げている。
 「金は不安、銅は期待、銀はその中間」。市場ではそうささやかれるが、この異常な熱狂に国際決済銀行(BIS)は「50年ぶりの異例事態」と警鐘を鳴らす。かつては株価と逆相関の関係にあった「金」が、今は株と共に上昇する投機的な局面にあるという。
 実物資産の輝きは、裏を返せば世界が抱える不透明感の現れでもある。市民の宝飾品から最先端のインフラまでを支える三金属の動向。その価格の乱高下から、しばらく目が離せそうにない

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