浪曲師として、吉本興業所属タレントとして、ともに初の人間国宝(重要無形文化財保持者)に認定された二代目京山幸枝若(70)が28日夜の「人間国宝認定」記念公演(大阪・なんばグランド花月=NGK=)の概要説明会見に出席した。

まな弟子の幸太(30)と幸乃(37)を引き連れ、6年前にアマチュア教室に弟子入りした月亭八方(76)も同席。八方が「僕らは横で三味線がジャンと鳴ると途端に文句忘れる」と苦笑すると、幸枝若は曲師と呼ばれる三味線弾きだった母親を思い浮かべながら「合わせよぅ思たら難しい。浪曲は独りミュージカル。どう謡おうが、どうしゃべろうが自由自在。それが魅力ですから」と親しみやすさをアピール。

認定後一番変わったことを聞かれ、手のひらをパタパタしながら「コレですワ」と苦笑。司会の月亭八光(56)に「吉本はコロコロ変わるからね」とフォローされ、暗にギャラを含め待遇が一変したことを明かすと一同大笑い。吉本興業では改めて浪曲の活性化へ幸枝若による全国ツアー開催をはじめ、系列の通信制高校「吉本高等学院」で弟子の幸太、幸乃が特別講師となり浪曲の基礎指導教室を開くことになった。

公演では幸枝若が古典浪曲「左甚五郎 掛川の宿」を演目に選び、「20年前の二代目襲名披露の時は一門の十八番(おはこ)やった〝会津の子鉄〟やったけど、甚五郎の方が初めての方にも分かりやすい」と説明。弟子の幸太は令和の〝超〟新作「ギャルサー!」を演じる事になり、「(踊りの)パラパラ入り。まさかNGKの大舞台で僕がやらせていただけるとは…」と緊張気味。口上には吉本を代表して西川きよしらも登場。漫才には紫綬褒章のオール阪神巨人が登場する豪華版で、幸枝若の半生を描くオリジナル吉本新喜劇では、彼自身は父親役で出演。座長の吉田裕が二代目幸枝若役に。吉田の得意ギャグ「乳首ドリル」に幸太らがからむ。池乃めだか(81)、島田一之介(73)、末成映薫(77)、浅香あき恵(68)らベテラン座員は以前の「襲名公演」にも共演しており、吉田座長は「82歳で新喜劇最高齢のやなぎ(浩二)師匠も出ます。当時の事は誰も覚えてはらへんけど、少なくても僕は今回浪曲やりません」と宣言して笑わせた。
(畑山 博史)
