子どもSNS、世界は「禁止」へ 16歳未満・企業の責任問う潮流

 子どものSNS依存を防ぐため、16歳未満の利用を法律で禁止する動きが世界で加速している。依存を生む「企業の責任」を問う転換期の中、法規制の議論が遅滞する日本の現状と課題を追った。(竹居真樹)

子どものSNS依存 世界は16歳未満禁止へ

 子どもたちのスマートフォン利用が低年齢化する中、世界は今、大きな転換点を迎えている。これまで「家庭でのしつけ」や「個人のリテラシー」という言葉で片付けられてきたSNS利用に対し、国家が強力な法的制限をかけ始めた。その背景にあるのは、もはや個人の努力だけでは抗えない「依存の構造」への強い危機感である。

 2025年12月、オーストラリアが16歳未満のSNS利用を原則禁止とする法律を成立させた。同様に、フランスやノルウェーでも15歳を一つの境界線として、厳格な年齢制限や保護者の同意を義務付ける動きが加速している。
 これらの国々が危惧するのは「中毒性」の正体だ。次々にコンテンツを流す「無限スクロール」や「自動再生」は滞在時間を延ばして広告収入を得るための装置に他ならない。これが脳の発達段階にある子どもをむしばむ「依存性物質」と断定され、法による保護が必要な段階に入ったという認識だ。今回の規制ラッシュがこれまでの対策と決定的に異なるのは、責任の所在を「利用者」から「事業者」へと移した点だ。以前は「見守り設定」や「フィルタリング」など、親が手間をかけて対策することが前提だった。
 しかし、巨大IT企業が莫大な利益を投じて開発した「依存させる仕組み」に、一家庭の教育力で立ち向かうには限界がある。
 法整備が進む国々では、SNS企業に対し、利用者が制限年齢以上かを厳密に確認することを法律で義務づけている。もしルールを破れば、数十億円にものぼる巨額の罰金が科される仕組みだ。これは「中毒性の高い機能で利益を得ているなら、それによって生じた依存などの社会問題についても、企業側が相応の責任を負うべきだ」という、事業者への強い警告である。 
 対して日本の現状はどうか。文部科学省の調査で不登校やSNSによる犯罪被害が深刻化していることは明らかだが、具体的な法規制の議論は進んでいない。 SNSという「仕組み」が子どもたちの精神構造を根本から変えてしまっている現実に、私たちはもっと向き合うことが必要だろう。

スマホを使用する子どものイメージ(写真AC)
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