大阪・関西万博で国連パビリオンと吉本興業が共催し「すべての参加者が笑顔でひとつになる日」と題して会場各地でイベントが行われた。
オープニングはEXPOホールで文化功労者・西川きよしやNHK紅白歌合戦出場の人気グループ「JO1」らが参加し、横山英幸大阪市長や国連事務次長のチリツィ・マルワラ国連大学学長がエール。

国連パビリオンでは、館長のマーヘル・ナセル国連事務次長補がパリ五輪柔道女子48㌔級金メダリスト・角田夏実5段(32)、世界進出を果たしたゆりやんレトリィバァ(34)とSDGs(2015年、国連サミットで採択された〝17の持続可能な開発目標〟のこと)をテーマにトークを開催。

ナセル館長は「日本は世界のどこよりもSDGs認知度は高い。しかしピンバッジを付けるだけでなく、行動を伴わせてほしい」と注文。金メダルを手にした角田選手は外国選手と数多く試合を通じ交流してきた立場から「海外では出産して競技復帰する選手や同性パートナーがいる選手も多い。自身が当たり前と思っていた事を考え直す機会を貰いました」と総括。ゆりやんは「ロサンゼルスに転居し大阪・関西万博に参加するのが夢だった。アメリカでは女性芸人が日本とは比べものにならないほど多いし、あちらでの友人にはLGBTQ(性的少数者)も多い」と経験を交え話した。

世界ではSDGsの精神に反し各地で紛争が続き、LGBTQ平等化への取り組みもトランプ米大統領が否定的な言動を繰り返すなど危機に陥っている。ナセル館長は「私は難民の子。世界のリーダーは外交か暴力かを選択する権限を持っている。そうした指導者への働き掛けを私はけして止めないし、諦めることもない」と決意を述べた。

この後も会場内では、万博テーマ事業プロデューサー・河瀬直美映画監督によるトークや国連職員らと来場との交流会などを開催。夜の国連広報センター・根本かおる所長によるクロージング宣言では「世界中で争いは続いていますが万博では多くの国々がSDGsへの取り組みを前に進めてくれています。最終年度の2030年まであと5年、これからも皆さんの協力をお願いします」と呼びかけた。
(畑山 博史)