

知らずに暮らしているなんてもったいない!あなたの街の、あんなイイ店、こんなイイ店。
「入りづらい」「高そう」「怖そう」? 大丈夫! グルメライター猫田しげるが、扉を開ける一歩をお手伝いします。




寿司屋激戦区・福島に降臨したホープ。店主の濱岡雄太さんはライバルを蹴落とそうと鼻息荒く乗り込んだ……わけではなく、「美味しい寿司屋が集まるエリアなので、いつかお店を出すのが夢でした。この近くの〇〇さんや〇〇さんも素晴らしいです!」と他店を褒めてしまうほど寿司が好き。天王寺の人気寿司酒場「SUSHI処まんま」で10年以上料理と寿司の腕を鍛え、2025年6月に独立オープン。知らなければ通り過ぎてしまうような狭い間口にひっそりと行灯を点し、おまかせコースで客をもてなす。
驚くのがそのコスパの良さ。1万1000円のコースで料理6〜8品程度と握り10カン前後、多い時で全20品ほどが出てくる。内容と品数は季節変わるが、取材日は〝ケンケン漁〟で揚がった和歌山のカツオ炙りに始まり、焼き胡麻豆腐ウニ乗せ、10日熟成の中トロ握りにトロたく巻き、白子バター炒め、ミョウバン不使用のウニ軍艦…あとは書き切れない(笑)。「後半で『お寿司入らない!』ってならないように、アテと握りを交互に出します」。しかも白身系には白酢、赤身系には赤酢と2種のシャリを使い分け、それぞれ違う付け台で提供。炊飯器も変えて別々に米を炊くと言うから、なんと手間掛かりな。




もちろん寿司にもアテにもしっかり仕事ぶりを発揮。和食の基本である「出汁」を最も大事にしており、昆布やカツオはもちろん、野菜の皮や端切れからも出汁を取る。「商標登録取った方が良いですよ!」と言いたくなる最高傑作「淡路和え」は、タマネギの一番栄養が詰まった皮やヘタからも出汁を取り、すりおろした身と合わせて白くなるまで炒め、エスプーマのように泡立てたソースを魚に纏わせた一皿。ニンニク入ってますよね?と疑うほど、香ばしくてコクがある。
酒のセレクトも絶妙で、シャンパンとしか思えない「新政 天蛙」や「十四代 純米吟醸 中取り無濾過」など、かなりハイスペックな日本酒を揃えている。チーズやバターを使う料理もあるため、ワインとのペアリングにも応じてくれる。




全18品を胃に収めてふと気づいたのは「食べ疲れしない」ということ。普通はこの量の寿司と料理を味わったら喉が渇くものだが。「大事になのはベースの出汁。あとは食材のマリアージュ。山椒を共通項として鰻とチーズを合わせるなど、調味料をキーマンにして素材を合わせると味がまとまるんです」。なるほど、出汁を活かすことで調味料を控えめにでき、素材の調和によって余計なものを「足す」必要がなくなるのか。
激戦区にこそ旨い店あり、という法則を確証する1店がまた増えた。





■鮨 はま岡/大阪市福島区福島3-14-4/電話06(6136)8921/午後6時〜午後11時※昼は要問い合わせ/不定休/https://yoyaku-sushi-hamaoka.com
