
空間デザイン会社の船場(東京港区)は、大阪・関西万博の「ルクセンブルク館」で使用された基礎コンクリートブロックを、日本国内で100%リユースする取り組みに挑戦している。万博会期を終えたパビリオンの基礎部分を、そのままの形で再利用する国内でも前例の少ない試みで、循環型社会の実装モデルとして注目される。
本プロジェクトは、循環型経済の先進国・ルクセンブルクが掲げたパビリオンの設計思想と、大自然の冒険テーマパーク「ネスタリゾート神戸」(兵庫県三木市)を結び付けて実現した。万博会場(大阪)から関西圏のレジャー施設へと資材を受け継ぐことで、万博の〝レガシー継承〟を具現化する。
ルクセンブルク館では、解体後の再利用までを見据えた設計思想「サーキュラー・バイ・デザイン(循環を前提とした設計)」を採用した。一般的な基礎工事では、現場でコンクリートを流し込む工法が主流だが、この場合、解体時には破砕が必要となり、粉塵や二酸化炭素の発生を伴うほか、資材としてのリユースは難しい。そこで同パビリオンでは、基礎部分をあらかじめブロック化し、解体後もそのままの形で使える構造とした。

今回の取り組みは、基礎コンクリートを壊さずに取り出しそのまま活用する。最大226個、総重量約542㌧に及ぶコンクリートブロックを、ネスタリゾート神戸の園内整備資材として再利用する計画だ。
万博パビリオンのテーマ「Doki Doki」の精神を関西のレジャー施設が引き継ぎ、新たな価値を吹き込む点も特徴だ。担当者は「万博の記憶を形として残したい。ルクセンブルク館を象徴した青と赤を、アート表現に生かしたい」と話す。
船場は、エシカルやサステナビリティの視点を空間デザインに取り入れてきた。今回の取り組みは、循環型経済を重視するルクセンブルクの方針と合致するものだ。さらに、同社はこれまでネスタリゾート神戸のホテルロビーや物販スペースの空間づくりを手掛けてきた実績があり、その縁が今回の連携につながった。
解体しても「ゴミ」にしない。万博を契機に生まれた基礎コンクリートのリユースは、建築分野における循環型社会への新たな一歩として、今後の広がりが期待される。
