【回想】18万人が味わったエミラティ料理 万博UAE館レストラン

エミラティ料理が人気を博したUAE館のレストラン=大阪・関西万博会場

 2025年に開催された大阪・関西万博は、世界各国の文化や技術を紹介する場として多くの来場者を集めた。展示に加え、各国の食文化も関心を呼び、会場では普段なかなか触れる機会のない料理を体験できた。その一つ、UAE(アラブ首長国連邦)パビリオンのレストランを振り返る。      (山崎博)

弁当箱形式で提供されたエミラティ料理の一例。スパイスライスに肉や豆、ザクロ入りサラダ、デーツなどが並ぶ

 エミラティ料理を知っているだろうか。UAEの伝統的な家庭料理で、国内で接する機会は限られている。中東料理自体が多くの来場者にとって初めての体験。味をイメージできないまま入店した人も多かったはずだ。
 来場者の心理的なハードルを下げた一つが提供形式だった。日本人になじみのある弁当箱風で提供され、区切られた升目に複数の料理を盛り付ける。全体像が一目で分かり、未知の料理への不安を和らげたとみられている。
 主なメニューの一つで、スパイスの効いた米にラム肉をのせた中東料理「ラム・ウージ」。香りが良く、食感もやわらかく、早くから人気を集めた。チキン・マクブースはスパイスを効かせつつも刺激を抑えた味で、「日本人の口にも合う」という声が多かった。魚の煮込み料理「サマク・サルーナ」も、香辛料の使い方が穏やかで食べやすいと評価された。
 菜食主義者向けのグリルナスと野菜マクブースライスのセットも一定の支持を集めた。サラダでは、ザクロを使ったハリース・サラダや、クレソン(ジャルジール)とデーツ、チーズを組み合わせた一皿が印象に残ったという来場者も多かった。特に「デーツを塩味の料理に取り入れる発想は新鮮」との声が目立った。
 もう一つ注目を集めたのがキャメルミルク(ラクダのミルク)だ。珍しさから注文する人が多く、味は「想像より飲みやすい」と広がった。中には再注文する人もいた。
 同館の発表によると、レストラン利用は約18万人。6カ月間で提供された食事と飲み物は25万8000点以上にのぼった。弁当形式のメニューは5万7000食以上、キャメルミルクは6万4000杯以上提供された。

SNSでも話題になったキャメルミルク

 会期中、レストラン前は連日の行列。途中から時間を前倒して開店する対応も取られ、こうした柔軟な運営が来場者の満足度向上につながったとみられる。
 また、特徴的だったのは再訪者の存在だ。別の展示を見るためではなく、食事を目的に再び同館を訪れる人も少なくなかった。食いだおれ文化で知られる大阪で、「もう一度食べたい」と思わせる体験の提供は注目に値する。
 万博は閉幕したが、各国の食文化にふれる体験は来場者の記憶に残った。なかでも同パビリオンのレストランは、エミラティ料理という未知の味を通じて、多くの人に印象を残したといえる。

連日、行列ができたUAE館のレストラン
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