寝屋川市の市立中学全校で、2026年度入学の中学1年生から「標準仕様服」が導入される。
学校ごとに一定の基準はあるものの指定業者はなく、条件を満たせば従来の学生服専門店や量販店など購入先は自由だ。購入先を選べる自由度が増した一方、保護者からは「どこで買うのがよいのか」と迷いの声も聞こえてくる。
まずは知っておきたい、新「標準仕様服」の基本

今回導入される「新標準仕様服」は、ブレザー、シャツ、スカート、パンツの着用が定められ、ブレザーやボトムスの色は学校ごとに異なる。ブレザー下に着用するポロシャツは、これまで通り指定品を使用する学校もあり、その場合は学校の案内に沿って購入する形となる。

「どこで買う?」選択肢が増えた一方で、戸惑いも
「高い制服を買わなくてよくなった」「量販店や通販でも買えるのは助かる」と歓迎する声がある一方で、保護者の間では別の本音もこぼれる。
「前は学校の採寸会に行けばよかったが、自分で選ぶとなると意外と大変」
「自由なのはありがたいけど、正直、何を基準に選べばいいのか分からない」
実際、25年度から先行してスーツ型の標準仕様服に切り替わった同市内のある中学校の保護者は、「規格に合う商品を見つけるのが大変だった」「プリーツスカートが見つからず、迷った末に通販で購入したが、届いてから生地の質感や色の違いが気になった」と話していた。
変更を受け、学生服専門店も対応を見直し

標準服購入のルール変更は標準服を扱う事業者にも影響を与えている。
「学生服の和光」では例年、寝屋川市内の中学校の制服を「アル・プラザ香里園」(同市日新町5−5)や「アンデス」(同市池田東町8−1)などの取次店を通じて販売しているが、購入先の自由化で、提供のあり方について見直しを行った。
代表の松浦仁さんによると、これまで上下で5万円を超えることもあったが、現在は上下でおよそ3〜4万円程度に抑えて販売できるよう調整を進めたという。
「購入先が自由になり、『規格に合う商品を探すのが大変』『何を選べばいいのか分からない』という声を現場で聞くようになりました。品質は落とさず、できるだけ手に取りやすい価格帯で出せないか。そうした声に、専門業者としてどう応えられるかを考えました」(松浦さん)。
成長を見すえて「長く着られる」を大切に

価格を抑えたとはいえ、「子どもたちの成長に寄り添う」という軸は変えていないという。
和光ではこれまでも同市内の中学生に、成長に伴う袖丈や丈直し、ウエスト調整などに無料で対応してきた。新標準仕様服についても、生地や縫製の丈夫さや伸縮性、成長を見越したつくりは従来通り。袖丈やズボン丈を伸ばせる前提で設計。成長期の3年間を想定しているのは学生服専門店ならではだ。
「中学生の体格の変化は本当に大きい。丈夫さはもちろん、最初から〝後で直せる〟ことを前提に作っている。できるだけ長く着用してもらうことを大切にしています」
「旧標準服」という選択肢も

制度移行期ならではの相談として、「兄姉のお下がりを着たい」「以前の標準服に憧れていた」といった声もある。
「寝屋川市の推奨は新しい仕様の標準服ですが、旧標準服を着用すること自体は認められています。実際、『うちの子は旧標準服を着せる』という声も伺っていますし、兄姉のおさがりを着るという方もいらっしゃる」
一部の学校にはなるが、和光の商品を取り扱う「アル・プラザ香里園」「アンデス」では在庫のある限り旧標準服の販売にも対応する。

「成長するわが子への贈り物」という見方も
ルール変更により、標準服を「量販店で買うか」「通販で買うか」「従来の専門店で買うか」を各家庭で考えなければならなくなった。
松浦さんは、「どれが正解、という話ではありません」と前置きしたうえで、「価格を優先する方もいれば、手間を減らしたい方、3年間の安心感を重視したい方もいる。それぞれの考え方で選んでいいと思っています」と話す。
学生服専門店という選択肢について尋ねると、「毎日着るものだから、成長に合わせて見守っていく〝伴走役〟のような存在でありたい」と位置づける。「入学は子どもにとっても親にとっても一つの節目。標準服を、『成長するわが子への贈り物のひとつ』と考える方もいらっしゃいます。そんな方に安心して選んでもらえる一着になれば」(松浦さん)。
いつまでに購入したらよいか?
最後に、新中学1年生はいつまでに標準服を用意すればよいのか。
「1月末までに申し込んでもらえれば大丈夫。今年は迷っていらっしゃる保護者さんも多いと思うので、アル・プラザ香里園の店舗で1月の毎週土曜(3日を除く)に採寸会を行うことにしました。質問だけでも受け付けているので、迷っている方は買い物ついでに相談に来てください」(松浦さん)

選択肢が広がり自由度が増した分、迷いも増えた寝屋川市の制服ルール。価格の安さを重視するか、成長を見据えた安心感を重視するか、各家庭で頭を悩ませることになりそうだ。
(文・写真=西山美沙希)
