令和の育児は「終わらない夜勤」? 夜泣きの悩みは昭和世代の2倍に 樋屋製薬が明かす実態

 4月7日は乳幼児の「夜泣き改善の日」。昭和世代にとって樋屋奇応丸(ひや・きおーがん)で有名な創業400年を超える樋屋製薬(大阪市)がこのほど、0〜3歳の子どもを持つ親972人を対象に、乳幼児の夜泣きに関する調査を行った。その結果、昭和世代に比べ、令和世代の親が慢性的な「夜の不眠」の悩みを抱え、精神的にも「自分の育て方が悪いのではないか」と自責に駆られる傾向があることが浮き彫りになった。

限界超える「睡眠不足」

 調査によると、0〜3歳児の親の約4割(39.9%)が、1日の睡眠時間が「5時間以下」と回答。さらに、夜中に「一度も起きない」人はわずか16.9%にとどまり、約3割(28.4%)が毎晩「3回以上」目を覚ます状況だった。

 同社によると「睡眠不足は夜泣きの対応だけでなく、現代の生活習慣である就寝前のスマホ利用なども重なっていることが考えられる。その結果、寝不足で心身の回復が追いついていないのではないか」と分析している。

 また、夜間の育児負担にも「母」が77.5%と偏りが見られた。男性の育児休業の取得率は2024年度に40.5%と過去最高を記録したが、夜間対応を「交代で行う」は 16.2%、「父」はわずか 4.6%に留まり、依然として母親が孤軍奮闘している現状だ。

 背景について、同社は「特に授乳は母親にしか担えない。父親が関われていないのではなく、関わりたくても難しい側面もある」と説明している。

「かんむし」を知らないことで、倍増する悩み

 かつて乳幼児の激しい夜泣きや不機嫌のことは「かんむし(疳の虫)」と呼ばれ、社会全体で共有された悩みだった。現代医学では「小児神経症」や「発達過程のイライラ」と捉えられ、主に自律神経の乱れやストレスが原因とされている。

 ところが、この「かんむし」という言葉の認知度が昭和世代の76.5%に対し、令和世代では53.0%まで低下していることもわかった。

 興味深いのは、認知度が下がった一方で、親の悩みが深刻化している点だ。夜泣きなどの「かんむし」症状に「非常に悩んでいる」という親は、昭和世代(7.6%)よりも令和世代(15.6%)が2倍以上になっている。「解決策を模索したレベル」まで含めると、令和の親の約4割が強い悩みを抱えている。

昔は「虫のせい」だったのに「自分のせい」に

 意識の変化も顕著だ。昭和世代の約半数(47.9%)は「成長の一環だから耐えるしかない」と楽観的に捉えていた。一方の令和世代は「自分の育て方が悪いのではないか(13.6%)」という自責に駆られていたり、「イライラしてかわいいと思えない(5.1%)」という罪悪感にさいなまれる傾向が強まっている。

 こうした背景には、核家族化や地域とのつながりの希薄化などの社会変化がある。同社は「孤立化の中で親は一人で悩みを抱えやすくなり、育児の負担そのものよりも、心理的な重さが増している可能性がある」と分析している。

 「一人で抱えなくていい」社会へ

 かつては「かんむし」という他責にできる言葉や、地域とのつながりが、理由の分からない乳幼児の不機嫌や夜泣きを受け止める“余白”として機能してきた。

 しかし、現代はその余白が失われて育児がタスク化し、「正解を求められるもの」へと変化。正解の基準も「元気に育つこと」から「理想の子育て」へと高まっている。その結果、親は「どうすればいいのか分からない不安」や「うまくできない自分を責める」という悩みを抱えるようになったと考えられる。

 同社は「夜泣きやかんむしは個人差が大きく、明確な正解があるものではない」としたうえで、「樋屋製薬では、乳幼児の夜泣きやかんむしの改善に古くから向き合い、親子の負担を少しでも軽くする選択肢を提供してきた。親と子の夜が少しでも穏やかなものになるよう目指したい」と、4月7日の『夜泣き改善の日』を機に、令和の育児を社会全体で見つめ直すことを呼びかけている。

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