文具・オフィス家具大手のコクヨ(社長・黒田英邦)は5月1日付で、大阪市北区大深町のグラングリーン大阪パークタワー14階に新本社「KOKUYO HQ(コクヨ エイチキュー)」を開設した。同社の大阪本社移転は約90年ぶり。6月16日にライブオフィスとして正式オープンする。21日には、報道関係者向けの内覧会を開いた。

黒田社長は「単なるオフィス移転ではなく、企業文化そのものを刷新し、企業と社会のつながりを再定義する公開実験の場」と強調。コクヨが文具・家具の販売メーカーから、働く場と体験のデザインを通じて日本のワークスタイル・ライフスタイルの変革をリードする企業へと進化していると説明した。
大阪本社には主にコーポレート部門、営業、設計部門が入り、約700人規模の拠点となる。新本社の床面積は約4165平方㍍のワンフロア。空間デザインはサンフランシスコを拠点とするインテリア設計事務所「Studio O+A(スタジオオープラスエー)」と共同で手がけた。
コンセプトは「プロムナード・オブ・ディスカバリー(発見の散歩道)」で、ゲートウェイ(受付・ギャラリー)、パークサイド(交流・イベント)、ワークプレイス(執務)、キルン(役員)、ツリーハウス(集中・リラックス)、マーケットプレイス(カフェ・多目的)の6エリアで構成する。中央のマーケットプレイスには150インチの大型スクリーンを備え、約100人規模のイベントも開催できる。鉄板を設けてお好み焼きなどを通じた交流も促す。



集中エリア「ツリーハウス」は電話やウェブ会議、会話を禁止した静寂空間として設計。「パークサイド」には授乳室や祈祷室、ジムを設け、社員の心身の健康に配慮した。オフィス各所には紙カタログを圧縮した素材を使った展示台や、グループ工場から出た樹脂廃材を天板に再利用した受付カウンターなど、廃材を活用した家具を配置した。


新本社では2つの「公開実験」を掲げる。一つ目はグローバル成長に向けた経営基盤の改革。同社は第4次中期経営計画で2030年に売上高5,000億円の達成を目標とし、新本社をその推進拠点と位置づける。二つ目は関西経済圏への貢献。1905年に大阪で和式帳簿の製造から創業した120年余りの歴史を踏まえ、地域経済の活性化に継続的に取り組む方針だ。
移転の背景には、2021年に実施した東京・品川オフィス「THE CAMPUS(ザ・キャンパス)」の大規模改修での成功体験がある。「街に開く」をコンセプトに整備した同オフィスでは、その後の5年間で品川勤務社員の「挑戦する風土」に関するエンゲージメント指標の向上にもつながったという。大阪の新本社でも、その経験を生かし、社員だけでなく法人顧客やパートナー企業に開かれた実験の場として運用する。
今後は、近隣企業や地域を巻き込む文化祭「CULTURE SNACK(カルチャースナック)」を、グラングリーン大阪と共同で10月に開催する予定。会議室予約や備品管理などを一元化する人工知能(AI)を使った「オフィスOS」の社内検証も進め、次世代の働き方を支える仕組みづくりにも取り組む。
大阪市東成区の旧本社ビルの活用については「今後検討する」とし、グランフロント大阪の既存オフィスはものづくりのラボを備えた施設にリニューアルする方針を示した。
