今週末からGW(ゴールデンウィーク)がスタートする。曜日並びの関係で4月飛び石、5月5連休があり「予定が楽しみ」という人も多いはず。
一方、以前から〝五月病〟という言葉がある。4月から社会人は就職や転勤で新しい職場に赴く人が多数いるだろうし、学生や生徒は新学年がスタートした。新生活にようやく慣れた頃に訪れる長期休暇にドッと疲れが出て、休み明けに会社や学校に行けなくなる現象だ。
少子高齢化の中でようやく確保した新世代を無事に職場や学校へ帰還させる手だてはあるのか?傾向と対策を考える。

カギ握る企業と家庭の対処法

少ない若者大切に
連休前からしっかりと
まず、GWへ部下や教え子を送り出す上司や教員は「環境が変わり疲れただろう。頑張った人ほどしんどいね。期間中はリラックスを」との声掛けを忘れずに。「休み明けは元気で会いましょう」と、達成可能な〝小さな目標〟を示すことが大切だ。連休明けに全員そろっていたら「おかえり」の精神で迎えよう。仲間同士で「出かけた人」など大まかにグループ分けし、出来事を話してもらう。この時、ぽつんと独りになった人がいたら、リーダーがカバーして話を聞いてあげてほしい。
逆に出席できず休んでいる人がいたら、SNSなどで連絡が取れるかどうかがポイントだ。ネットで社会性を維持できる時代。「心が折れているかな」と感じたら直ちに動く。しかし「大丈夫か、頑張れ」といった激励は禁物。「そっと見守ろう」と放置するのも良くないし、「自分の指導力不足」と落ち込む必要もない。
「聞き役に徹して」自分から歩み寄ることが大事だ。会話中に視線をそらし「別に」「大丈夫です」と多くを語らない場合は要注意。話の内容が多少腹立たしくても「甘えるな」などの否定的反応は厳禁だ。「眠れない」「食欲がない」などの悩みは、誰かに苦しい気持ちを聞いてもらうだけで改善されるケースもある。
離職者「七五三」とは?
社会人の場合、学生とは異なるストレスがある。①周りは上司や先輩ばかりで心許せる同年代がいない②希望の仕事ができず雑用ばかり、あるいは教わらないまま仕事を押し付けられる③学生時代に比べ拘束時間が長い④配属先への不満や次の長期休暇までの長さに対する不安、などだ。さらに、新社会人は意欲がある分「給料をもらっているから我慢」「投げ出せない」と強い責任感を感じ、ダウンしてしまうこともある。
新卒入社組の3年以内離職率は、大卒3割、高卒5割、中卒7割という意味で「七五三」と呼ばれる。この数字は昔からあまり変わっていないが、少子高齢化で若者の獲得自体が困難になり、かつてのように「大量採用して大量に辞める」わけにはいかなくなった。しかも、ネット求人の充実で新卒者の7割が「転職に抵抗なし」と答える時代だ。
新卒者の退職の最大の原因は、五月病そのものより「業務内容が合わない」「期待したキャリアが築けない」という不満だ。特に中小企業ほど離職率が高い。退職者を「自己都合」と突き放して放置せず、社内の不合理なシステムを見直すことが重要だ。
教室復帰は家庭から
大半が未成年の学生・生徒は、社会人とは事情が異なる。中学は義務教育のため不登校生徒が全国で約34万人に上る一方、高校や大学の早期退学率は1~2%程度にとどまる。「進路変更」の形を取ることが多く、五月病が顕在化しにくい。
中高生は「集団になじめない」と悩み、大学生は逆に「学級がなく孤独感が強い」と苦しむ。未成年の場合、学校への拒否反応が親への甘えからやり場のない怒りとなり、家庭内暴力や引きこもりに移行するケースもある。思春期の反抗期と区別しにくいのも特徴だ。
保護者はまず学校に相談しがちだが、あまり期待しすぎない方がいい。教員の対応は校内が主で、不登校へのアプローチが不十分なのが実態だ。保護者は子どもの症状を受け入れ、原因追及や解決を焦らず、「家庭内に安全なスペースを提供する」と割り切るのが得策だ。ただし、言いなりになるのではなく、起床や食事などの生活リズムは約束させ、守らせることも肝要である。
保護者が我慢して見守る目安は2週間程度。それを過ぎればカウンセラーや心療内科への相談が必要だ。「恥ずかしい」と抱え込んではならない。「甘やかし」と「戦略的休養」は紙一重。復活のサインは「コンビニに行っていい?」「映画を見たい」などの外出願望だ。短期間で無理に復帰させて完全に壊れてしまうより、急がば回れの発想で、ここは保護者の「我慢」が求められる。
連休終わりも
GWを乗り切っても、夏休み前に折れてしまうケースも多い。かつての恩師や仲間と話したり、懐かしい場所を訪れたりして、前に所属していた場所(出身校や転勤前の職場)を訪問するのは有効だ。かつての恩師や仲間と話したり、懐かしい場所や店を訪れ「自分には逃げ場や戻る場所がある」と確認するだけで安心できる。
五月病対策のキーワードは「孤立防止」と「逃げ場確保」。「頑張れ」と励ますより、さりげない気づきの態度。「疲れたら逃げて休もう」のゆとり気分が燃え尽きリタイヤの防止策になる。

昭和型モーレツ社員から観た「令和ニッポン」社会とは?
高度経済成長を遂げた戦後の〝昭和ニッポン〟は、年々人口が増える超競争社会だった。私が大学を卒業した昭和40年代後半(1970年からの5年間)は、第1次石油ショックによる就職難。新入社員は社内教育で「君らの代わりはいくらでもいるぞ」と脅かされ、配属先では「辞めちまえ!死んじまえ!二度と来るな!」と上司に罵倒されながら、先輩の背中を見て仕事を盗み覚える日々だった。
コンプライアンス(法令順守)やハラスメントという概念はなく、「落ちこぼれ」「マルキン・マルビ(金持ちと貧乏人)」といった流行語が飛び交い、人々はその荒波にのみ込まれまいと必死にもがいた。サラリーマンは男性中心の終身雇用が当たり前で、給与も物価も右肩上がり。誰もが「明日は今日より素晴らしい」と信じていた。
あれから半世紀。〝令和日本〟は高齢者や女性、外国人労働者が働く複合社会となった。少子高齢化で生産年齢人口が急減し、AI(人工知能)やロボットが人の代わりを務める。一方で、若者のリアルなコミュニケーション能力は、スマホ頼みの分「退化した」と感じる。
発展途上国のパワーの源泉は、人口増加による競争激化。まさに日本が歩んだ道だ。人口減少が続く日本に、高度経済成長は二度と訪れないだろう。かつて世界の海を制した欧州列強は、今や落ち着いたEU(欧州連合)の一員になった。人口が半減する今世紀末、日本も成熟した国になれるのか。答えを見届けられる寿命は残念ながら団塊の世代の私には残っていない。
