千林くらしエール館(大阪市旭区)のスーパーニューマルシェが、今年でオープン30周年を迎える。千林・今市両商店街の中間地点に位置し、同業他社が多店舗展開で商圏を広げるなか、30年間千林のみで食卓を支え続けてきた。
4代目社長の渡辺敬介さんに話を聞くと、その強さの源は市場時代から積み上げてきたお客さんとの信頼関係にあった。

市場の魂受け継いで

くらしエール館が建つ場所には、かつて「森小路公設市場」があった。魚屋、八百屋、豆腐屋、昆布屋などが軒を連ね、地域の食を支えてきた。平成8年に市場から地元民待望のスーパーへ転換、ニューマルシェが誕生した。渡辺社長は同所で市を出していた昆布屋の息子で、幼い頃から市場で育ち、誕生後は社員第1号として入社。その歴史をともに歩んできた一人だ。
スーパーに変わってもこだわり続けたのが仕入れだ。魚などの生鮮品は、市場のときと変わらず毎朝スタッフが自ら仕入れに出て、店頭でさばき、調理するスタイルを貫いた。
市場時代から築いてきた仕入れ先との長年の信頼関係を土台に、品揃えの豊富さと品質の高さを磨き続けてきた。この姿勢が舌の肥えた地元客に選ばれ続け、同時に地域での信頼関係を育んだ。
野菜、魚、肉の生鮮三品を軸に、近年は手作り惣菜も伸びている。「夕飯がここでそろう」店を目指しており、「千林の台所」としての存在感をさらに高めている。


また、スーパーの枠を超え、地元高校生を招いた吹奏楽コンサートや親子で参加する田植えバスツアーなどを主催。地域のイベントにも積極的に協力してきた。食卓だけでなく、千林の暮らしに寄り添ってきた30年でもあった。
街とともに次の30年へ
今後は新たな動きも予定しているという。千林・今市両商店街の中継地点として、これまで別々に動いていた両商店街とニューマルシェが連携し、イベントなどで街全体を盛り上げていく構想だ。
「ここでずっと育ててもらったから、僕の代で裏切れない」と渡辺社長。新たな挑戦も見据えながら、「千林をもっと盛り上げていきたい」と意気込みを明かした。 (文=西山美沙希)

