住吉大社で「御田植神事」、多彩な神事で豊作を祈願

舞台の神楽を背に、御田で早苗を植える替植女ら

 国の重要無形民俗文化財の「御田植(おたうえ)神事」が14日、大阪市住吉区の住吉大社で行われ、鎌倉時代から続く古式にのっとった多彩な神事で、豊作を祈願した。

 同大社の御田植神事は、香取神宮(千葉県)、伊雑宮(三重県)とともに日本三大御田植祭の一つとして知られ、中でも同大社の神事は、五穀豊穣を願う地域全体の祭典として定着。この日も梅雨空特有の雨模様の天候にもかかわらず、海外の観光客を含め、2000人の見物客が詰めかけ、初夏の風物詩を楽しんだ。

 神事は「本殿祭の儀」から始まり、宮司の祝詞奏上などに続いて、神前に備えられた早苗が、神職から植女(うえめ)に授けられた。おはらいを受けた奉仕者らは、境内の南側に広がる御田(おんだ)まで参進。植女から早苗を受け取った替植女(かえうえめ)は、御田に入り、地元農家で構成する御田講の奉仕者らと、一つ一つ丁寧に苗を植えていった。

 御田に設けられた中央舞台では、神楽女(かぐらめ)8人による「八乙女」が「田舞(たまい)」を披露したほか、童女や地元民が田植踊りや住吉踊りを奉納。さらに風流武者らが、降りしきる雨を吹き飛ばすような威勢のよい行進で、御田の周囲を回り、伝統ある神事を盛り上げた。