農業機械大手のクボタは5月7日、大阪市浪速区から大阪・うめきたの「グラングリーン大阪」南館パークタワーへ本社機能を移転する。グループ従業員約2600人も新オフィスへ移る。4月27日、報道陣を対象にした内覧会が開かれた。

新本社は同タワーの15〜19階で、1フロアの広さは旧本社の約5.5倍。代表取締役社長CEOの花田晋吾氏が登壇し、新本社のコンセプトを説明。〝本社移転は歴史的な転換点〟と位置づけ、単なる老朽化対応ではなく、新たな価値創出の拠点とする考えを示した。社会課題の複雑化や事業環境の変化を踏まえ、持続的成長には変化への対応と進化が不可欠と強調した。

同社は創業以来、食料・水・環境分野で社会課題の解決に取り組んできた。農業機械や水インフラなどの事業を軸に、近年はICT(情報通信技術)を活用したサービス提供にも力を入れる。既存事業の強化と新規事業の創出を両立する「両利きの経営」を掲げ、新本社をその起点とする。
新本社のコンセプトは「Konnect field for Innovation(コネクトフィールド・フォー・イノベーション)」。若手社員を中心とした部門横断チームが策定した。人が出会い、知り、考え、新たな価値を生み出す〝仕組み〟としてオフィスを設計し、技術だけでなく働き方やサービスも含めた広い意味でのイノベーション創出を狙う。
各フロアは自然の循環をテーマにデザイン。15階が水・川・海、16階が土・大地、17階が緑・森、18階が花、19階が空気・空をそれぞれイメージしている。役員も含め全員がフロアを共有するフリーアドレス制を採用し、役職に関わらず同じ空間で働く環境を整えた。1周約300㍍を回遊できるレイアウトで、通路は車椅子対応の幅を確保。案内サインは日英併記とし、多様な国籍・身体的条件の従業員が働きやすい設計とした。礼拝室やキッズルームも設ける。
19階の「協創エリア」は、外部企業やスタートアップ、研究機関との連携を想定したオープンスペース。動画配信用スタジオも備える。17階には約490席の社員食堂「K’omorebi」を設け、社員同士の交流を促す〝サードプレイス〟として機能させる。


花田氏は、うめきた地区を選んだ理由について「企業や大学、スタートアップが集まりやすく、街全体が開かれている」と説明。社外との連携を強化し、オープンイノベーションを加速させる拠点にする考えを示した。
なお、旧本社(大阪市浪速区)の跡地活用については、複数の企業から問い合わせがあるものの、具体的な方針はまだ決まっていないという。
