来年4月13日開幕の大阪・関西万博を全4回にわたって特集するシリーズ。最終回の今号は、会場全景図と〝並ばない万博〟を実現するチケット購入について解説する。(佛崎一成)
8月1日、「夢洲北高架橋」が当初の計画よりも5カ月前倒して開通した。渋滞に悩んでいた夢洲の万博会場へ向かう工事車両がスムーズに乗り入れられるようになり、今後は工事も加速しそうだ。
一部で海外パビリオン建設の遅れを指摘する報道はあるが、各国が一からデザインして設計する〝タイプA〟のパビリオンは47カ国のうち、39カ国が着工にこぎ着けた。今万博を象徴する1周2㌔の大屋根リングも木組みがほぼ終わり、8月21日には1周が繋がった。
「毎週、会場を訪れるとパビリオンの外壁が都度でき上がっており、工事の進捗が感じられる」。こう話すのは2025年博覧会協会の広報・プロモーションの小林浩史局長だ。会場全景図のリアルな全ぼうが見えて来ると、否応なしに機運も高まる。
並ばない万博
「今回は可能な限り〝並ばない万博〟を目指している。そのためにも予約システムがカギだ」と小林局長は力を込める。
1970年の大阪万博を記憶する読者はご存じだろうが、米国のアポロ宇宙船が持ち帰った〝月の石〟を一目見ようと、アメリカ館には5時間待ちの行列ができた。
今でも国内のテーマパークなどでは来場者でごった返し、お目当てのアトラクションに乗るのに100分待ちという状況は変わらない。そこに挑む〝並ばない万博〟には期待がかかる。
予約活用してスムーズに
仕組みはこうだ。まずはインターネットで万博IDを登録してから電子チケットを購入。購入後に会場へ行く日時を予約できるようになる。予約は希望日の半年前からでき、開幕日(2025年4月13日)に行きたいのなら、ちょうど半年前の今年10月13日から予約が可能だ。日付が翌14日になると、25年4月14日までの予約が申し込める。この辺りは1カ月先の予約が出来る新幹線の仕組みと同じだ。日時の申し込みは先着順になるため、希望日の6カ月前に忘れず申し込むことが重要だ。
万博会期中の営業時間は午前9時〜午後10時。小林局長によると「午前中は夢洲までの交通や、ゲート前の混雑が予想される。このため、なるべく来場の時間帯が分散するように設定を検討中だ」と話している。
会場の1日の許容人数は最大で二十数万人を想定。「万博は会期後半になるほど混み合う傾向にあるので、比較的空いていて、ゆっくり見られる前半の来場がおすすめ」(小林局長) という。
9月から万博の情報続々
来場日時を予約したら、次は当日見たいパビリオンやイベントの観覧予約だ。予約せずに観覧できるものもあるが、予約しておけば並ばずスムーズに楽しめる。事前の観覧予約は抽選チャンスが2回と先着のチャンスが1回の合計3回。抽選では、一度のチャンスに第1希望から最大で第5希望まで申し込める。ただし一度の抽選チャンスで当選するのはその中で1枠なので抽選機会は逃さずエントリーするのがポイント。
抽選1回目は来場日の3カ月~2か月前の前日(当選発表は2カ月前)、2回目は1カ月前~8日前(同7日前)となる。先着申し込みのチャンスは3日前~前日に申し込める。
また、事前の予約枠に加え、当日の会場内でも空きがあれば予約が可能だ。当日の予約枠はそのパビリオンやイベントを観覧し終えたら、次の予約ができるようになる仕組み。
小林局長は「基本的に事前予約は3回できるが、超早割の購入者だけは4回のチャンスがある」と明かす。
超早割とは10月6日まで販売中の「超早割一日券」のことで、購入者は9月25日〜10月6日の間に、通常は来場日の3カ月前からしかパビリオンやイベントの抽選申し込みをできないが、特別に全日程の中から選べるお得な抽選に申し込める。
チケット自体も〝超早割〟の後継として10月7日から販売される〝早割〟より700円安く、さらに抽選ではあるが、会場内外で使える電子マネーやミャクミャクの限定グッズが当たる特典もつく。
「9月からパビリオンの目玉展示や主要イベントなどが続々と発表される。『超早割一日券』を購入し、9月25日から申し込める特別抽選にエントリーしておくといい」(小林局長)
偶発性楽しんで
以上、ていねいに説明してみたが、それでも「何だかややこしい」と感じる読者もいるだろう。ただ、予約しないとパビリオンが見られないわけでなく、あくまでスムーズな観覧が目的。当日に観覧できる枠はちゃんと確保されているのでご安心を。大屋根リングや「タイプC」と呼ばれる共同展示の海外パビリオンや未来の都市など予約なしで楽しめるものも数多い。
「イメージ的には2つくらい予約で押さえておいて、ごはんを食べたり、リングに上がってみたり、あとは気の向くままに会場内を案内する来場アプリを片手に場内を散歩して、偶発性を楽しんでもらいたい」(小林局長)