吉本新喜劇入り8年目の若手女優、小林ゆう(26)に注目が集まっている。

きっかけはMBSテレビで5月24日に放送された新喜劇中継「愛のある部屋!?♡」で主演女優・未知やすえの急な代役を見事にこなし、吉本興業から『新喜劇敢闘賞』を受けた事から。未知と辻本茂雄が夫婦役、未知の不倫相手が実生活では夫婦の内場勝則というシャレの効いた設定。夫の留守中逢瀬を楽しんでいた所に夫婦の住むマンションに忍び込む泥棒父娘役が清水けんじと酒井藍座長。そこに出張した夫が突然帰宅し一悶着起きる。小林は当初、マンションに遊びにくる小学生役で出番も少なかったが、未知の代演に酒井座長から突然の指名。ベテラン陣の間に入って臆することなく未知が復帰するなでの5日間を演じ切った。5月度間寛平GM月例会見でこの功績を認められた敢闘賞受賞を披露され、寛平GMは「突然でも日頃から芝居全体を把握しているからすぐに代役が出来たんや」と絶賛。司会のアキ座長も「確かに出番のない時でも舞台袖でずっと芝居見てますわ」と感心。今年の〝新喜劇の顔〟に指名された西川忠志は「やすえ姉さんのマネでなく、1晩で自分の役にしてしまう所はすごい」と舌を巻いた。

幼い頃から学んだクラシックバレエで柔軟性に富み普段の新喜劇舞台では〝立ちブリッジ〟で観客の度肝を抜いていたが、155㌢と小柄で最近頭角を現すまで子役中心だった。それでも寛平GMが毎月開催の「ネタバトル」では筒井亜由貴と組んだユニット「なんでもいいよ」が最多優勝回数に輝き、演技派の片鱗を実証。昨年で3年目を迎えた座員総選挙で初年度こそ31位以下の選外だったが、一昨年初めて28位に滑り込み、昨年は17位へと躍進した。

過去2回は満員で、自身3回目となる単独公演「大人の授業参観~一夜限りの60分」(8月11日夜、大阪なんば・YESTHEATER)では初めて上方落語実演に挑戦。吉本の先輩噺家・月亭方正に付き、小林が小学生の時に社会見学で見た古典ネタ「平林」を学習中。元々メモ魔で丸覚えするタイプだったが、方正から「全てをお手本通り正確にやろうとせずマイペースで」とアドバイスされ、日々正座し手ぬぐいと扇子を持って基本の顔の向きから学んでいる。

芝居だけでなく歌や踊りも出来るだけに夢は広がるが「将来はテレビや映画などいろいろなお芝居へ幅を広げ挑戦してみたい。30歳までは何でもやってみる。新喜劇マドンナのお姉さん方は、結婚出産を経て舞台に戻られる方も多いのでそれもあこがれます」と欲張りぶりを隠さず今日も突き進む。
(畑山 博史)