聞き逃すと来年はない? 最高齢84歳の笑福亭円笑 8.16夜にお盆恒例の落語会

 3月に7回目の歳男となった上方落語界の最高齢噺(はなし)家、笑福亭円笑(84)が8月16日夜、お盆恒例の「珍品根多(ネタ)落語会」を開く。ゲストは人気の林家菊丸(50)で、演目は季節感満点の「借家怪談」。円笑の出し物は、昭和を代表する社会派推理作家、松本清張(1992年、82歳で死去)の短編集「彩色江戸切絵図」から「女義太夫」をオリジナル化した同名創作落語と、上方落語界では演じる者がいない6代目三遊亭円生(79年、79歳で死去)の得意ネタで曲輪(くるわ)噺「山崎屋」の2席。聞き逃すともう来年はないかも?

「亡くなった米丸師匠の99歳が目標」と語る84歳の笑福亭円笑

 江戸時代の女芸人の芸と恋を巡る葛藤を描いた「女義太夫」は清張遺族の承諾を得て落語に仕上げ、桂米朝(2015年、89歳で死去)に演じ方を相談。「人情噺にしても笑いところは必要。マクラを工夫しなはれ」とのアドバイスを受けさらに練り上げた。21年の〝清張生誕100年〟を記念し主要都市での落語会で披露し好評だった。「山崎屋」は江戸・吉原の花街を舞台に遊び人の若旦那と訳ありの番頭の駆け引きが面白い。

上方落語界で最高齢噺家の笑福亭円笑

 円笑は「昔、(3代目古今亭)志ん朝師匠(01年、63歳で死去)にお稽古を付けて頂いた際に〝ネタを覚えても人情噺は60歳、70歳にならないと味は出ないよ〟と言われました。先日も(桂)ざこば師匠が76歳で、落語芸術協会会長の(桂)米丸師匠が99歳で亡くなられました。私も年齢的にはいつまで高座を続けられるか分かりませんが、先輩方に教わった話芸を出来るだけ披露し続けたい」と話している。

 当日券あり全席自由で3千円。

(畑山博史)

「珍品根多会」にゲスト出演する林家菊丸