政府と与野党による「社会保障国民会議」の実務者会議は6月3日、食料品を対象とした2年間限定の消費税減税について本格的な議論を始めた。当初焦点となっていた税率「0%」の導入は見送られる公算が大きくなり、早期実施を優先して「1%」とする案が有力となった。高市首相が今月中にも最終判断する。物価高にあえぐ中間層が支援から漏れる懸念があり、波紋を呼びそうだ。

公約「ゼロ」頓挫、実務の壁重く 還元案浮上も財源確保が課題
先の衆院選で与党が掲げた「食料品消費税2年間ゼロ」は実務の壁に直面した。生産者が仕入れ時の税控除を受けられず損をする「非課税」ではなく、還付可能な「0%」設定が必須だが、6月3日の会議で、現行にない「0%」枠を設けるレジ改修には約1年を要すると判明。設定変更が容易で半年で済む「1%」案への転換を余儀なくされた。
代わりに1%分(6000億円強)を補助金等で還元し「実質0%」とする代替案が浮上し、維新側も前向きな姿勢を示した。ただ、現行の8%から1%への引き下げによる年約4兆3000億円の税収減をどう穴埋めするか、財源確保の課題は重い。
「給付付き税額控除」も減税と給付の複雑な仕組みがネックだ。定額減税による自治体の混乱等を踏まえ、所得税減税は見送る。税額控除を主張していた維新も、早期の制度開始を優先し「給付への一本化」を容認した。
給付対象は米国の制度などを参考に、年収74万円から300万円程度の個人とする案が軸だ。全人口の約1割にあたる約1200万人にとどまり、物価高に苦しむ中間層の多くが外れるため「恩恵が狭すぎる」と批判も出ている。
当初の華々しい看板政策は、実務上の課題や財務省の意向も絡み大幅な軌道修正となった。今月下旬の中間とりまとめを経て秋の臨時国会に法案を提出し、全国統一地方選が控える2027年4月からの導入を目指す。だが長引く物価高で国民生活は限界状態だ。当初から大きく後退した「骨抜き」の制度で、有権者の理解をどこまで得られるかは不透明である。

