大阪府の出生数は10年連続減の5万5111人と過去最少を更新した。自然減も5万5381人と過去最大。吉村洋文知事は「静かなる有事」と危機感を表明した。
少子化対策、問われる「次の一手」 無償化の先、経済成長と意識改革へ
厚生労働省の2025年人口動態統計(速報値)で、大阪府の出生数は10年連続減の5万5111人と過去最少を更新した。府や大阪市は教育無償化に加え、今年9月開始予定の第1子保育料無償化など経済支援策を推進。市は新年度当初予算案に関連費用244億円を計上するなど注力するが、負担軽減を講じても少子化の根本的な反転には至っていない。
吉村洋文知事は2月26日の会見で、過去最大の5万5381人となった「自然減」に触れ「静かなる有事」と危機感を表明。少子化の背景に「将来への展望が持てる経済環境」の欠如を指摘した。賃上げと経済成長がなければ出産や育児の動機付けにはつながりにくいとの認識だ。費用の肩代わりだけでなく、雇用の安定といった高いハードルを越える現実が浮き彫りだ。
一方で府内の婚姻数は4万2250件と2年連続で増加し、回復の兆しがみえる。府は少子化の要因を「結婚」「1人目」「2人目」の3つの壁と分析し、民間と連携した結婚支援などを強化する。共働きが一般化する中、女性に偏りがちな育児負担の是正など「社会の空気」を変える施策も急務だ。
知事が語る「進行をなだらかにしていく」との目標は、対策が単なる反転から人口減少を前提とした「軟着陸」へと移行せざるを得ない、行政施策の限界と根深い課題を示している。

