野村真希さん、士魂商才賞を受賞 渋沢栄一の精神を実践し、看護師と歌手の〝二刀流〟を両立

 関西を拠点に、看護師と歌手の〝二刀流〟を両立させ、多くの人に「生きる力」を与えている野村真希さん(奈良県桜井市出身)が2月、青淵渋沢栄一翁顕彰会が主催する、2025年度の士魂商才賞を受賞した。武士道の根幹につながる高い道徳心(士魂)と、商いの才覚(商才)を生かした、日頃の奮闘が高く評価されたもので、その生き方に賛辞の声が相次いでいる。

 同賞は、新一万円札の顔としてなじみ深い、渋沢栄一が著書『論語と算盤』で提唱した、高い倫理観(論語)に基づいた、優れた経済活動(算盤)を実践している人たちを同顕彰会が表彰している。

 野村さんは、渋沢の名言「利を求むるに道あり」(人間として、道徳心や倫理観に基づいたあるべき道を進み、その過程で得られた利益こそが真の富という教え)の実践者として注目されており、看護師として、また歌手として、患者や歌謡ファンを勇気づけている。

2度に渡る生死をさまよう大病を克服

 そんなパワフルな生き方の原動力になっているのが、生死をさまようような大病を乗り越えた2度の体験。最初の病魔に見舞われたのは、幼稚園教諭として働き始めた数ヵ月後だった。

 「医師から風邪と言われたものの、高熱が続き、別の病院で検査を受けると、はしか(麻疹)にかかっていることが分かったんです」。はしかは感染力が強いウイルス性の疾患として知られ、特効薬はなく、野村さんは、左右の肺が真っ白になるほど悪化。意識不明の状態が2週間続き、臨死体験をした。

 「体から魂が抜ける幽体離脱の状態だと思いますが、ベッドに横たわる私の体から抜け出た魂は、天井付近から周りにいる家族の心の中を見透かすように眺めていました。誘われるように〝三途(さんず)の川〟に行くと、すでに亡くなっている祖父母もいました。気持よさを感じながら、そのまま川を渡りそうになる瞬間、『真希!』と叫ぶ家族の声が聞こえ、現生に引き戻されました」

 その後、健康を取り戻し、退院したものの2ヵ月後、体に異変を感じ、病院で検査を受けるとクッシング症候群と診断された。副腎で作られるホルモンが過剰に分泌される難治性の疾患で、脳腫瘍も見つかった。

 医師からは「手術しても(命が) 助かるかどうか分からない」と告げられた。しかし、「幽体離脱を体験してから、他の人とは違う力を持っていることを感じるようになりました」という野村さんは、必死で祈り続けた。

  クッシング症候群の診断から2週間後、レントゲンと血液検査を受けると、全てのデータが正常値に戻っていた。信じられないような奇跡的な出来事に、医師は首をかしげるばかりだった、という。

多くの人に「生きる力」を与え続ける、

 2度の大病で「生かされた命を、お世話になった方々に恩返しをしたい、と強く思うようになった」という、野村さんは、医療事務の資格を取得後、看護学校の事務員などを経験したあと看護師にチャレンジする道を選んだ。

 猛勉強し、看護模試の成績はいつも全国で10番以内。看護師の道に進んだ野村さんは、「何を聞かれてもしっかりと説明でき、信頼される看護師になりたい」と、フル回転の忙しさで働く一方、子どもの頃から夢だった歌手デビューを目指した。

 決断したのは、がんで闘病中の母の一言だった。「ある日、病床の母に『私、歌をやってもいい?』と聞くと、『歌やり』と後押ししてくれました。この時が母と交わした最後の会話でした」

 その後、プロデューサー岡崎健一郎さんとの出会いもあり、歌手としての才能を開花させ、故郷・奈良県桜井市の魅力を情感たっぷりに歌い上げた、デビュー10周年記念曲「悠久の古都」は有線放送で20位にランクイン。今もカラオケ愛好者に歌い継がれている。

 「それゆけ! ブギウギ婦警さん」などのオリジナル曲も、野村さんならではの明るく一緒に口ずさみたくなるような曲調が好評だ。

常識を超えた、歌の力を実感

 看護師と歌手に打ち込む、野村さんならではのエピソードも多い。植物状態だった患者の家族から、患者の好きな歌を聞き、歌いながら患者の体を拭くと目や手が動きはじめ、その後も歌いながら体を拭く日々を続けたところ、起き上がれるようになった、という。 「常識を超えた、歌の力を感じました」と振り返る。

 さらに、鳥羽一郎さんとの歌謡ショーに出演した際、突然、演奏者が卒倒。野村さんが応急処置をして救急車の隊員に、その後を託した。

 演奏者の病気は、くも膜下出血だったが、体調が回復し舞台に復帰。主治医は「野村さんが行った早期の応急処置が適切だったことが大きい」と語っていた。

 二つの仕事に情熱を注ぎながら、「生かされた命」を世のため、人のために生かし続ける野村さんは、来年の1月24日、奈良県の橿原文化会館大ホールで歌手デビュー15周年記念コンサートを予定している。多くの人に元気と笑顔を届け続ける歌声と、大病を乗り越え奮闘し続ける〝人生劇場〟の語りで、大きな盛り上がりが期待されている。

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