大阪万博の会場内に設置されていた給水スポットを覚えているだろうか?
ペットボトルの使用量を減らすため、また飲み水を確保する手段としても利用されていた給水スポットは、会場来場者やスタッフの行動変容にも貢献していたようだ。
「水」関連機器を扱う総合メーカーのOSGコーポレーション(大阪市北区)は、同社が推進する「ステハジ」プロジェクトの一環として、大阪万博会場に給水スポット52台を設置した。来場者や運営スタッフを対象に、「気候変動」や「熱中症予防」、「プラスチックごみ削減」への意識向上を促す取り組みで、会期を通じて一定の成果が確認できたという。

「ステハジ」プロジェクトとは、〝使い捨ては恥ずかしい〟との考え方を軸に、日々の生活の中で誰もが少しの意識と行動を積み重ねることで、海洋プラスチック問題をはじめとした、使い捨て文化から派生する多様な社会課題に立ち向かう取り組みだ。個人や企業、自治体、学校、団体、さらにはプロスポーツチームまで、幅広い主体が一体となって啓発と実践を進め、行動変容を促すことを目的としている。

会場内に設置された52台の給水スポットでの給水回数は、万博閉幕日である10月13日に、1,200万回(1206万5111回)突破を記録した。また、給水によるCO2削減量については約1,000トン(97万8480㌔グラム)となった。

これらの給水における行動変容について、開幕日の4月13日に給水スポットで給水した100人のうち88人は中身の無くなったペットボトルを利用して給水しており、マイボトルを利用しての給水は12人だった。
しかし、開幕から1カ月後の計測では、ペットボトルを利用しての給水が47人、マイボトルでの給水は53人と、来場者・運営スタッフの行動変容が見られた。継続して毎月13日に100人調査を実施したところ、マイボトルを利用しての給水が半数を上回る結果が最終日の10月13日まで継続したという。

これらの来場者・運営スタッフが体験した「マイボトル〝給水〟が新たな選択へ」は、大阪万博のコンセプト「未来社会の実験場」のレガシーとして、「ステハジ」プロジェクトのプラットフォームに参加する企業・自治体・団体・教育機関・プロスポーツクラブとの企画やイベントを共創し、「未来のナショナルスタンダード」につなげ、サステナブル社会への幅広い企業や個人の行動変容・習慣変容のきっかけになるかもしれない。

