吉村知事が掲げる府民を対象とした高校授業料の「完全無償化」案について、大阪私立中高連合会と知事との初会合が8月9日に開かれ、私立高校への補助額の上限となる標準授業料(年60万円)を63万円に引き上げるなどとした大阪府の修正案について、私学側も合意した。
大阪府 補助上限額、引き上げへ 授業料以外の負担が…
授業料「完全無償化」の案をめぐっては、5月に大阪府が素案を発表したが、標準授業料(60万円)を据え置いたため、私立高校の負担が現在よりも増える案だった。このため、私立高校などが反対の声を上げてきた。これを受け、吉村知事は補助する授業料の上限を63万円に引き上げ、私学への経常費助成も生徒1人あたり約32万5500円から2万円程度を増やす修正案を発表していた。知事案で負担が生じる学校は25校に減り、総額も約7・9億円に縮小するという。吉村知事は私学側に「教育の質向上と無償化を両立させる」と提案し、私学側も「知事の理念実現に向けて協力したい」と合意に達した。
高校授業料の完全無償化の一方で、公立高校を含めると、新たな課題が浮上している。
大阪府の公立高校はこの10年間で統廃合が進められ、すでに17校が募集停止。今後2027年までに府内の公立高校は9校の募集停止が計画されている。私立高の授業料が無料になるが、一方で公立高校だと入学料は5000円台で済むが、私立高校は入学金だけで平均約20万円。
公立高校は授業料なども含めて3年間で30万から40万円の負担で済むが、私立高校は、授業料を除いた額では平均、合計3年間で150万円かかる。