大阪取引所(大阪市中央区)で2月28日、高校生・大学生を対象にした投資教育イベント「学生向けJPX投資カレッジ」が開かれた。主催は日本取引所グループ(JPX)と大阪取引所、学生投資連合(USIC)。大阪での開催は初めてで、約50人の学生らが参加した。

冒頭、大阪取引所の金融教育を担う金融リテラシーサポート部の西小路俊之氏があいさつ。大阪株式取引所から数えて約150年の歴史があることや、現在の建物は約20年前に改装されたことを紹介し、「金融知識を高める取り組みを続けたい」と述べた。

続いて、東京証券取引所の安藤隆弘氏が「投資の意義と日本株投資の魅力」をテーマに講演した。投資の基本として「長期・積立・分散」を強調。会場で投資経験を尋ねると、多くの学生が既に株式や投資信託に取り組んでいると答えた。
なぜ今、投資への関心が高まっているのかとの問いに、学生からは「インフレの影響」との声も上がった。安藤氏は、物価上昇により現金の価値が目減りする可能性があることを挙げ、「若い世代ほど早く学ぶ意義がある」と説明した。
日本株の現状については、2012年12月のアベノミクス開始を100とした場合の株価指数の動きを示し、日経平均の上昇率が米国のS&P500を上回る局面があると紹介。「最高値更新はバブルではないのか」との疑問に対しては、株価の割高感を示すPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)を用いて解説した。1989年12月のバブル期にPERが約70倍だったのに対し、現在は約23倍水準にとどまるとし、「実態を伴った上昇」との見方を示した。
また、2022年4月の東証市場再編にも触れ、プライム・スタンダード・グロースの3市場体制となり、投資家にとって分かりやすい構造になったと説明。資本コストを意識した経営を企業に促していることも紹介した。

後半は、投資情報誌「会社四季報」(東洋経済新報社)の編集長を務めた山本直樹氏が登壇し、四季報を使った企業分析の方法を解説した。
会社四季報は1936年創刊の投資情報誌で、全上場企業約3800社を掲載する。すべての上場企業に担当記者を配置し、独自分析による業績予想を示すのが特徴という。山本氏は取材の意義について「会社は生き物。3カ月ごとの定点観測で体調が分かる」と語った。
具体例としてトヨタ自動車を取り上げ、事業構成や海外売上比率、業績予想の読み方を説明。さらに伊藤忠商事についても、外国人株主比率の高さや就職人気の背景を紹介した。山本氏は、米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が伊藤忠商事など日本の商社株を購入する際、四季報を参考にしたと伝えられていることにも触れた。
近年の注目分野としては、データセンターや蓄電池、インド関連事業を挙げ、「見出しや特色欄から企業の強みを読み取ってほしい」と呼びかけた。

講演後は、普段は立ち入る機会の少ない取引所内の見学ツアーや懇親会も行われた。
イベントを共催した学生投資連合(USIC)は全国約30大学、1000人超が参加する金融系学生団体。堀野名花さん(早稲田大)と根岸理央さん(明治大)は「関西学生の(同団体)参加割合は全体の1~2割程度にとどまる。過去には滋賀大や大阪大なども参加していたが、現在は以前ほど活発ではない」と現状を説明した。
その上で、「大阪は日本の証券取引のルーツの地。かつて盛んだった大阪の復活を目指したい。関西での開催を増やし、学生の金融リテラシー向上につなげたい」と意気込みを語った。関西出身でもある堀野さんは「投資を怖がらず、正しい知識を持って挑戦してほしい」と呼びかけた。

