環境規制が自動車産業を変える 再生プラスチックへの設備投資を最大1500万円補助

自動車における再生材市場構築のための産官学連携推進事業

 世界の自動車産業で、「つくって、使って、捨てる」から「資源を回収し、再び使う」循環型経済への転換が加速しています。特に欧州では、自動車の設計から廃車、再資源化までを対象とする新たなELV(廃自動車)規則が進展しています。新ルールでは、新車に使用するプラスチックについて、規則発効から6年後に15%、10年後には25%を再生プラスチックとすることが求められ、そのうち一定割合を廃車などから回収した材料で賄う「クローズドループ」の考え方も盛り込まれています。
 さらに、EUの「欧州バッテリー規則」では、電池の原材料調達から製造、使用、リサイクルまでのライフサイクルを対象に、カーボンフットプリントや再生材などに関する情報開示が段階的に求められます。2027年2月からはEV用など一定の電池について、製造情報や性能、循環性に関する情報をデジタルで管理する「バッテリーパスポート」も義務化されます。

 こうした国際的な変化を背景に、環境省が進めているのが「自動車における再生材市場構築のための産官学連携推進事業」です。再生プラスチックの「質」と「量」の双方を確保し、国内における再生プラスチック市場の構築を図ることを目的としています。
 支援は大きく二つあります。一つ目が、再生材の品質保証に必要な分析装置の導入です。自動車向け再生プラスチックを供給するリサイクラーやコンパウンダー、品質検査を行う公設試験研究機関・分析機関などが対象となります。新品の分析装置や据付、試運転等が補助対象となり、補助率は2分の1、補助金額は1社当たり1500万円程度が上限の目安です。分析を内製化することで検査頻度を高め、再生材の品質安定・向上につなげることが期待されています。
 もう一つが、プラスチックの回収量拡大と輸送効率向上のための破砕設備です。使用済み自動車からバンパーや内装材などを回収・破砕する解体業者、破砕業者等が対象で、資源回収インセンティブ制度への参加などの要件があります。補助率は2分の1で、補助金額の上限は1社当たり1250万円程度が目安。破砕設備の導入による回収量の拡大や、容積を減らすことによる輸送効率向上・運搬コスト削減が期待されています。
 欧州の環境規制は、自動車メーカーだけの問題ではありません。再生材メーカー、部品メーカー、リサイクラー、解体・破砕事業者など、サプライチェーン全体に対応が広がっていくことが考えられます。再生プラスチックの「量」を確保する設備と、その「品質」を証明する分析体制への投資は、これからの自動車産業で取引を続けるための競争力にもつながります。このような国際的な資源循環への対応は、グローバルなサプライチェーンを形成する自動車産業に関わるすべての企業にとって重要な経営課題となっています。

[プロフィル]
なにわのみやコンサルティング増田昌代
1972年生まれ。立命館大学大学院経営管理研究科修了(MBA取得)、中小企業診断士。大手IT企業の経営企画室での経験を基盤に、複数業界でのキャリアを構築。東証上場企業の広報IR責任者を経て2024年に独立。データ分析に基づくWEBマーケティング戦略立案と各種補助金活用支援を得意とし、中小企業の持続的成長をサポート。

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