孫正義氏「40年には10億倍賢く」 17カ国がビジョン共有 AIで研究革新へ

 米大統領府の科学技術政策局(OSTP)は10月4日、「サイエンス&テクノロジーinソサイエティ・フォーラム(STS)2026」の開催に合わせて、「科学の黄金時代に向けた京都ビジョン」の協議を行い、約250人が会場へ詰め掛けた。(岡野健将)

「40年に世界のGDPの20%が超知能で置き換わる」と話す孫氏

 OSTPのマイケル・クラツィオス局長が京都ビジョンが提案された経緯や、同ビジョンを通して科学の発展のための資金集めやコミュニティーの形成の重要性を語った。
 ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長は、超知能の現在地から今後の発展の可能性や魅力を話した。超知能とは、スーパーインテリジェンスとも言われ、あらゆる分野で人間の知性をはるかに超える理論上最も高度な知能を持つ人工知能(AI)のことだ。
 クラツィオス局長は、「20世紀には研究開発費の大部分は連邦政府によって賄われ、学術機関で優れた基礎研究がなされた。最終的にそれらは商業化された。しかし現在、連邦政府は米国における研究開発の過半数を資金援助しておらず、民間部門がその責務を担っている。この仕組みを支援するのが我々の役目だ」と話した。
 この実現のために提案されたのが「科学の黄金時代に向けた京都ビジョン」で、米ホワイトハウスが発表した、AI(人工知能)を活用して科学研究を加速させるための国際的な共同宣言。主な柱は3つで、 資金と制度の改善、超知能の活用、若手人材の育成だ。同ビジョンには日本、韓国、アルゼンチン、チリ、インドネシア、カザフスタン、イギリス、ニュージーランド、キプロス、ポーランド、アラブ首長国連邦(UAE)、ドイツ、シンガポール、ブルガリア、イタリア、ギリシャと米国の17カ国が賛同している。
 続いて登壇した孫氏は、40年に世界のGDPの20%が超知能で置き換わると考えている。彼の考えではAIはバブルではなく、まだ入り口に立っただけで、今後約15年で、超知能の市場規模は現在の1兆㌦未満から46兆㌦規模になるという。
 AIには3つのステージがあり、ステージ1がチャットボット。ステージ2が、必要なツールやシステムを自分で選びながら実行してくれるAIエージェント。今年から本格化し、ここ数カ月で開花し始めている。ステージ3は、AIエージェントがロボットを動かし、能動的に状況を認識して行動を起こすようになる「フィジカルAI」で、来年から始まる。
 こうした超知能を機能させるには何兆㌦もの資金が必要で、巨大プラットフォーマーにしかできない。しかし、その超知能を利用するには月額数百㌦を払えば学生でも市民でも誰でも活用でき、非常に民主化された形になっている。この計算能力を利用することで、世界中のどこにいてもどんな人でも新しい技術を創造したり、新しい創薬や素材を生み出せるようになるという。
 最後に孫氏は「超知能が40年には現在より10億倍賢くなっている」と指摘。 理由として(超知能は)3〜5年ごとに新しいチップやモデルの『一つの世代』が生まれ、1世代の進化で計算用チップの数が10倍、チップあたりの性能が10倍、そしてモデル自体の性能も10倍になる。「つまり、およそ3年で、10倍×10倍×10倍で性能が1000倍になる。これがさらに3〜5年後の第2世代、第3世代に進むと10億倍になるため、超知能が賢いかどうかという疑問は意味をなさなくなる」という。
 一方で、「必要以上に超知能を恐れたり、保護的になりすぎたり、受動的なアプローチをとろうとすると、猛スピードで進化していく超知能においていかれる」と笑顔で話した。

タイトルとURLをコピーしました