演歌第7世代の一条貫太 冗談やシャレの合間トークでも人気に

〝演歌第7世代〟トップをうかがう歌手、一条貫太(27)が新曲「大漁太鼓」のPRキャンペーンで関西入り。「大阪発流行歌ライブ」に出演、新曲で海の男シリーズ第2弾「大漁太鼓」とカップリングは裏町で男と女が肩寄せ合って生きるしみじみとした「望郷恋しんぼ」など5曲を披露した。

しっとりと望郷演歌を歌い上げる一条貫太

一条は日焼けした精かんな顔立ちと短髪のヘアスタイルで地方の漁師町出身に見えるが、実は首都圏の千葉市で生まれ育った。中学時代は野球部のスポーツマンで、高校に入り歌の道に目覚め吹奏楽部で学びNHKのど自慢チャンピオン大会に出て大学時代にプロデビューした。「色黒短髪は僕のトレードマーク。中学時代は練習で真っ黒、高校時代も屋外練習が多かったので日焼けしていた。今もそのままです。たまに冬場に顔色が白っぽくなると恥ずかしい」と話し、自然の光沢を生かすため今もドーランなどはほとんど使用せず素顔のままだ。

歌いながら一条が客席をラウンドすると両手にプレゼントが一杯に

舞台裏に控えて聴いていたレコード会社スタッフらが舌を巻いたのは、トーク力の伸び。「やっぱり似ているよな」と名前が出るのは、尊敬する同じ日本クラウン所属の大先輩・北島三郎と鳥羽一郎だ。特に鳥羽からは「これからは海の男の歌を君が歌え!」とお墨付きを貰っており、北島からは豪快でリズミカルな華やかさと、裏町・悲恋・思い出などしっとり演歌のDNAを受け継いでいる。デビュー当時は真面目一方だった曲の合間トークも、場数を重ねて砕け冗談やシャレも交えるようになり、舞台に出て行くと客席は一瞬でなごむ。

「大漁太鼓」をオリジナル法被姿で熱唱する一条貫太

人気急上昇を裏付けるようにラウンドと呼ばれる客席通路に降りての歌唱では握手攻めだけでなく、プレゼントを渡そうとするファンで一条の両手はすぐに満杯。曲が終わっても場内を回り切れず急きょ駆け足で客席まで駆け寄る一幕も。鳥羽を教えを受け「頂いた方への感謝を込めて」プレゼントの紙袋をステージ最前列に並べ次曲を歌唱した。終了後のCD販売は、サイン入り色紙を一緒に手渡すだけでなく本人との写真撮影や握手もできるとあって人気のバロメーターでもあるが、一条前の行列は最後まで途切れる事がなかった。

「大漁太鼓」では、同じ千葉県のよしみで銚子市の伝統芸能「銚子ばやし」の保存団体「ひびき連合」の協力を得た。このお囃子(おはやし)の特徴は2人が太鼓を担いで円を描き飛び跳ねながらたたく「はね太鼓」。ミュージックビデオの撮影では一条も急きょ飛び入り参加。「飛び跳ねるというより膝を高く上げてステップを踏む感じ。難しかった」というが、保存メンバーの中に入ってもそん色なく運動神経の良さを見せた。

6月度「大阪発流行歌ライブ」の出演者。左から3人目が一条貫太

今後の目標として同世代の男性演歌歌手による切磋琢磨を掲げる。「昭和に活躍された先輩方が築いて下さった世界。それを僕らの世代は受け継いで後世に伝えていく責任がある。もちろん演歌男子の仲間に負けたくはないけど、皆で一緒に頑張ってその中で僕の爪痕をどこかで残せれば」と決意は固い。

(畑山博史)