「おいしい給食 炎の修学旅行」全国ロードショー 主演の市原隼人〝食育とエンタメ〟の新境地へ

昭和の教室をリアルに再現
笑いと涙に込めた〝人間愛〟のメッセージ

映画『おいしい給食 炎の修学旅行」をPRする市原さん(右)と綾部監督
映画『おいしい給食 炎の修学旅行」をPRする市原さん(右)と綾部監督

 市原隼人の映画「おいしい給食 炎の修学旅行」(綾部真弥監督)が10月24日から全国公開された。
 シリーズ第4弾となる本作は、市原が演じる給食を愛する教師・甘利田幸男が修学旅行を通じて食と教育、人と人のつながりを見つめ直す物語。
 主演の市原は、作品に込めた思いについて「このシリーズは、変わらないことの難しさを伝える物語。舞台は1984年。日本人が忘れかけている〝わびさび〟や〝人間愛〟をもう一度思い出してほしい。甘利田先生は不器用だけれど誠実に生きようとする男。どの時代にも通じる生き方を体現しています」と話す。

 〝食〟をテーマにした作品でもあることから、食育や教育への視点もにじむ。「子どものための給食でありたい。食は心と体を育てる教育です。地産地消や日本の食文化を通して、次の世代に豊かさを伝えたい」と話す市原。給食シーンの撮影中は3回分くらい毎回完食していると明かした。食べるシーンも演技の一部として〝全力で挑む〟という。

映画「おいしい給食 炎の修学旅行」(公開中) 2025「おいしい給食」製作委員会
映画「おいしい給食 炎の修学旅行」(公開中) ©2025「おいしい給食」製作委員会

 綾部監督は「給食が食べられない修学旅行という設定に苦労した」と話す。その矛盾を乗り越えるために、新たに花堺中学という学校を登場させ、教育の在り方や価値観の違いを対比させた。「笑いの裏にあるメッセージ性をどう描くかが挑戦でした」と振り返る。
現場では〝演技させない演出〟を心がけ、子役たちの自然な表情や声を大切にした。机の並びや黒板の文字、掲示物に至るまで、教室をリアルに再現。「観客が〝自分の教室だったかも〟と思える空間を目指した」と話す。

 映画では、甘利田先生が生徒たちと共に旅を通じて成長する姿が描かれる。北海道から青森、岩手へと続く修学旅行の中で、日本の食と文化の多様性も感じられる構成だ。
 取材中も市原のまっすぐな人柄が顔を出す。舞台挨拶では観客のもとへ自ら走ってプレゼントを届け、最後は全員とハイタッチ。インタビューでも真剣に語りながら、時折り笑いを交え、誠実な姿勢が印象的だ。
 「おいしい給食」は笑ってお腹がすき、少し泣ける作品。市原の振り切った演技の中に、教育へのまなざしと人へのやさしさがにじむ。

 「子どもはコメディーとして、大人は愛情と教育の物語として楽しんでほしい」と語った言葉どおり、世代を超えて心に残る映画になりそうだ。

『おいしい給食 炎の修学旅行』
【公開】10月24日から全国ロードショー
【出演】市原隼人、佐藤大志、武田玲奈、直江喜一、いとうまい子、高畑淳子 ほか
【監督】綾部真弥
【公式サイト】https://oishi-kyushoku4-movie.com

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