【守口警察署長インタビュー】特殊詐欺防止に向けて、目となり耳となる市民一人一人のご協力を

【守口署長・高島久弘さん×守口エリア編集長U.K.】〝守口市民の守護神〟へ

 昨年11月に府警本部から守口署の署長に就任して半年。犯罪の未然防止に向けて署員とともに365日24時間、守口市民の命と暮らしを守る職務に邁(まい)進する高島久弘署長(警視)。本紙守口エリアの編集長、U.K.が同署が特に力を入れている特殊詐欺撲滅に向けた対策をインタビューした。

【U.K.】昨年11月に守口署に着任されて半年間が経過しましたが、守口の印象はどうでしょうか。

【署長】まず、初めに110番の日の1日警察署長ご苦労様でした。大変凛々(りり)しく頼もしい姿でした。トークも楽しく大変分かりやすかったです。守口市、市民の方々の印象は、まちが明るく奇麗。市民の方々も明るく純粋でお人柄も優しいですね。

【U.K.】府警本部からの転任とお聞きしていますが。

【署長】府警本部の刑事部捜査第2課で贈収賄事件や特殊詐欺事件を担当していました。守口署長の辞令をいただいたときは、署長としての誇りとともに使命感、「よし、やるぞ!」の思いでした。

特殊詐欺対策機器の貸し出し、ごみ収集車による注意喚起の広報活動

【U.K.】守口警察署として特に力を入れておられる犯罪抑止は何でしょう。

【署長】大阪重点犯罪を主として、守口市民の体感治安の原因ともなる身近な犯罪を重点的に、守口警察署一体となって、これら犯罪の未然防止に全力で取り組んでいるところです。中でも、全国的に問題となっている特殊詐欺撲滅に向けた対策に力を入れております。

【U.K.】署長さんはまさに特殊詐欺犯、摘発のプロ中のプロですね。具体的な取り組みとはどんなものでしょうか。

【署長】取り組みの活動としましては、守口市役所などの関係機関と共同して、機会あるごとに各種被害防止のキャンペーンを行っております。また、通称千台カメラ、守口市が設置した犯罪カメラで、現在1100台が守口市内に設置されております。このカメラを有効活用し、犯人を早期に特定し、逮捕することで、同一犯人による連続犯行の未然防止を図り、さらには犯罪を起こしにくい環境づくりを構築しています。

 特に、特殊詐欺対策に関しましては、被害防止キャンペーンのほか、守口市役所のご協力をいただき、特殊詐欺対策機器、つまり録音機能付き機器の貸し出し、ごみ収集車による注意喚起呼びかけの広報活動などを行っています。

巧妙な還付金詐欺の手口

【U.K.】特殊詐欺の手口にはどのようなものがあるのですか。

【署長】特殊詐欺の手口は、10類型あります。その主なものは、オレオレ詐欺、預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗、還付金詐欺といったものです。オレオレ詐欺は、息子や孫といった親族等を騙(かた)って「会社の金を使い込んだので、お金を都合してほしい」などと言って騙(だま)し、その後、会社の上司や弁護士などを名乗る受け子が、現金を騙し取るものです。預貯金詐欺、キャッシュカード詐欺盗は、警察官や百貨店、銀行員を騙って、「キャッシュカードが不正に利用されてるので確認に行く」など言って騙し、警察官等を名乗る受け子が、キャッシュカードを受け取りに行く、又は、隙を見て全く別なカードとすり替えるといったものです。

 還付金詐欺は、市役所といった官公庁職員を騙って、「税金や医療費などのお金が戻ってくる」などと騙して、被害者の近くのATMまで行かせ、そこで、携帯電話をつないだ状態で、かけ子が言葉巧みに指示してATMを操作させ、相手の口座に自らの口座からお金を振り込ませるというものです。最近の手口で増えているのが、架空料金請求詐欺で、サポート詐欺とも言われています。これは、パソコンなどを操作中、突然、画面上に「ウイルス感染」などの文字が表示され、その解決策などと称して、表示された電話番号に電話をかけさせ、コンビニなどで、指示された金額の電子マネーを購入させて、その電子マネーの番号を犯人側に伝えさせることで、電子マネーの利用権を騙し取ってしまうというものです。

【U.K.】守口市の被害件数や被害額は。

【署長】守口市内での特殊詐欺被害の認知件数については、昨年55件と一昨年の31件から大幅に増加しており、被害拡大に歯止めがかかりません。中でも、ATMに誘導して振り込ませる還付金詐欺が55件のうち35件と大きく割合を占めております。今年に入ってから、昨年同期比より若干減少しておりますが、まだまだ被害の発生は止まりません。

【U.K.】これら特殊詐欺の被害に遭わないために気をつけるためのポイントは。

【署長】これら特殊詐欺では、アポ電つまり、犯人側が「○○警察署の○○ですが」とか「○○市役所の○○ですが」と言って電話をかけるのですが、まず、その時点で、一旦電話を切って、警察や市役所に確認することです。相手は詐欺師です。相手の言われるままに行動するのではなく、冷静になっていただき、家族や親族などに相談してください。また、録音機能付き電話の設置や留守番機能にしておくなどの対策が効果的です。犯人側は、あの手この手と新たな手口で騙してきます。大阪府警察の「安まちアプリ」を登録していただくと、地域の防犯情報などがメールで受信でき、特殊詐欺のアポ電発生状況などを知ることができます。アプリの活用をよろしくお願いいたします。

犯罪から身を守るという備えを

【U.K.】守口市民としてできることは。

【署長】特殊詐欺の被害に遭われる方のほとんどが高齢の方です。守口警察署では、金融機関やコンビニ店に対して、機会あるごとに防犯指導を行っております。行員さんや店員さんにご協力いただき、高齢の方が携帯電話をかけながらATM機を操作している姿を見かけたり、電子マネーを購入しようとされる方に積極的に声をかけていただき、被害の未然防止に努めていただいております。

 守口市民の方々にも、通りすがりに偶然、携帯電話をかけながらATMを操作しているお年寄りを見かけたら、「ひょっとして詐欺の被害に遭っているのでは」と感じた時は、その方に声をかけていただき一旦、ATMの操作をストップさせていただけたら助かります。そして、詐欺だとなれば、躊躇(ちゅうちょ)することなく警察に通報していただけたらと思います。

 また、市民の皆様のご自身に加え、皆様のご家族やお身内の方、そして地域の皆様との絆を大切にして、お互いが犯罪から身を守るという備えをしていただければと思います。決して警察だけでは出来ないことです。皆さんのお力添えをぜひとも必要とします。

【U.K.】署長さんは今は、住民票を守口市に移し、守口市民とお聞きしています。いわば、24時間365日、守口市民を守っていただいている〝守口市民の守護神〟として私たち市民は心強いです。

【署長】実は単身赴任で守口署の5階屋上にある官舎で暮らしています。

【U.K.】単身赴任で官舎住まいで寂しくはありませんか。

【署長】いえいえ(笑い)。毎日、署員と顔を合わせ、私にとって署員は家族だと思っています。私は署員とともに大阪の「守り口」として大阪府民、守口市民の命と暮らしを守る仕事にやりがいとともに今の職責に感謝の気持でいっぱいです。

【U.K.】最後に一言、お願いします。

【署長】守口警察署として、引き続き、守口市や関係機関などと連携して、守口市民の皆様の防犯意識を高める施策を推進、皆様のご理解やご協力をいただきながら、市民が安心して暮らせる「安全なまち守口」の実現に向け、特殊詐欺を含めたあらゆる犯罪の被害防止、そして犯人の逮捕に全力で取り組んでまいります。どうぞよろしく御願いいたします。

<プロフィル>1964年、大阪府生まれ。85年、大阪府警察官拝命。主に刑事警察部門で勤務し、刑事部捜査第二課で贈収賄事件や特殊詐欺事件などを担当。2024年11月、守口警察署長着任。