保険適用から3年 膝の痛みに新たな選択肢 〝切らない治療〟ラジオ波治療

 変形性膝関節症による膝の痛みに対し、神経に熱を加えて痛みの伝達を抑える〝ラジオ波治療〟が保険適用となって約3年が経過した。保存療法で十分な改善が得られない患者や、人工関節手術を受けることが難しい患者らの新たな選択肢として注目されている。大阪市北区で約90年にわたり地域医療を支える「行岡病院」でも導入が進んでおり、行岡太志理事長代行に治療の現状を聞いた。

 変形性膝関節症は、加齢などに伴い膝関節の軟骨がすり減ることで痛みや歩行障害を引き起こす疾患。国内でも患者数が多く、高齢化に伴い増加傾向にある。治療は痛み止めなどの薬物療法やヒアルロン酸注射、ステロイド関節内注射、リハビリテーション、運動療法などの保存療法が中心だが、症状が進行すると人工関節置換術が選択される場合もある。

 ラジオ波治療は、膝関節周辺の痛みを伝える神経に高周波電流を流し、熱を加えることで痛みの伝達を抑制する治療法。保存療法で十分な効果が得られない患者や、高齢や持病などで人工関節手術が難しい患者、手術を希望しない患者などが対象となる。 

 行岡氏によると、ステロイド関節内注射との比較試験では、治療後に痛みが50%以上軽減した患者の割合はステロイド治療で15%前後、ラジオ波治療で74%前後だったと報告されている。米国の臨床試験でも同様の結果が報告されている。ただし、効果には個人差がある。  

 治療では膝周辺にある3本の神経を対象に処置を行う。手術時間は約30分から50分程度。局所麻酔で実施し、必要に応じて鎮静剤を使用する。行岡病院には麻酔科医も在籍しており、安全面に配慮した治療体制を整えているという。

 効果の持続期間は1~2年程度とされる。時間の経過とともに痛みが再び現れる場合もあるが、再治療も可能だ。患者負担の目安は保険診療で、1割負担の場合約1万5000円、3割負担の場合約4万5000円。両膝を治療する場合はその倍額となる。

 同院では昨年10月ごろから半年ほどで約40膝に実施した。対象は60代から90歳近い高齢者が中心。患者からは「夜間の痛みが和らぎ眠れるようになった」「平らな道を歩くのが楽になった」といった声も寄せられているという。

 一方で、同治療は傷んだ軟骨を再生するものではなく、病気そのものを治す根本治療ではない。行岡氏は「痛みが軽減することで運動療法や筋力トレーニングに取り組みやすくなる。痛みによる活動量低下の悪循環を断ち切り、良い循環につなげることが重要」と話す。 

 同院は整形外科とリハビリテーションを強みとしており、運動器疾患の治療を通じた地域医療への貢献を目指している。行岡氏は「膝の痛みが軽減することで外出や運動がしやすくなり、筋力や身体機能の維持につながる。将来的なロコモティブシンドローム(運動器症候群)や身体機能の維持を支える一助になる治療だと考えている」と話している。 

変形性膝関節症に対するラジオ波治療について説明する行岡太志理事長代行

 病院理念に掲げるのは〝優しい医療〟。患者や家族だけでなく、職員にとっても働きやすい環境づくりを目指しながら、地域医療の充実に取り組んでいる。

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