基本は手洗い・換気 医師「自己判断せず相談を」
受験シーズンが大詰めを迎える中、インフルエンザの流行長期化が受験生や家族の不安を強めている。国公立大学の二次試験は前期日程が2月25日以降、後期日程が3月12日以降に始まる。直前に家族や同居人が感染すれば、本人が無症状でも体調管理への懸念は一段と高まる。
厚生労働省によると、2026年第6週(2月2~8日)の全国の患者報告数は16万4744人。定点当たり43.34となり、警報レベルの目安とされる「30」を上回った。今季は平年より約2カ月早い9月下旬に流行期へ入り、11月中旬をピークにいったん減少したが、1月下旬から再び増加。流行の長期化が懸念されている。大阪でも定点当たり31.05と高水準が続き、高校132学級で学級閉鎖が報告されるなど、教育現場でも警戒が強まる。足元ではB型の増加が目立つ。
こうした状況を背景に、ワクチン接種や手洗い、うがい、マスク着用、換気、アルコール消毒といった基本的な感染対策に加え、「次の選択肢」として抗インフルエンザ薬の「予防投与」に関心が集まっている。
予防投与とは、インフルエンザを発症してから薬を使う通常の治療とは異なり、症状が出る前に薬を服用し、発症や重症化を抑えることを目的とした医療行為だ。一般には予防目的のため自費診療となることが多く、対象になるかどうかや薬の種類、量は医師の判断に委ねられる。
対象の目安としては、①同居家族や職場の同僚などの感染が判明し、密接接触を避けにくい場合、②受験や出張、重要な商談など代替が難しい予定を控えている場合、③持病があり合併症のリスクが高い場合―などが挙げられる。
予防投与に使われる主な薬には、飲み薬の「タミフル」や「ゾフルーザ」、吸入薬の「イナビル」「リレンザ」などがあり、1回の服用で済むものから数日間服用するものまで種類がある。

受験期の家庭では、受験生本人の感染予防に加え、同居家族が発症した場合に家庭内で感染を広げない工夫も欠かせない。インフルエンザ治療薬の中には、早期投与によって体内のウイルス量を減らし、家庭内での感染の広がりを抑える効果が示されているものもあり、対策の選択肢として注目されている。
呼吸器内科専門医の山口彩医師は「予防の基本はあくまでワクチン接種と日常的な感染対策」と強調。その上で「予防投与はすべての人に一律に行うものではなく、年齢や基礎疾患、接触状況を踏まえて個別に判断する必要がある」と話す。原則としてインフルエンザ患者と接触があった人が対象で、接触後48時間以内の服用が推奨されるという。
近年はオンライン診療の活用も広がる。事前に症状や状況を入力し、ビデオ通話で医師の診察を受け、必要と判断されれば処方が行われる仕組みだ。外出を控えたい時期でも医療機関に相談できる点は、受験期の家庭にとって安心材料の一つとなる。
受験本番まで残された時間はわずか。まずは基本的な感染対策を徹底することが最優先だ。そのうえで、家庭内に感染者が出るなど「どうしても外せない局面」に直面した場合には、自己判断で抱え込まず、医師に相談し適切な対応を検討することが重要だと専門家は呼びかけている。
