路上喫煙禁止1年 人流分析で3607カ所試算 商店街は補助制度

 大阪市が市内全域で路上喫煙を禁止する改正条例を施行してから1年が経過した。市が公表した最終報告書によると、路上喫煙率は約4割減少した。一方で、市は来年度中に63エリアでの喫煙所整備のほか、指導員の巡回強化や啓発活動の拡充を進める方針を示している。

城北公園喫煙所

 条例施行後、市会には喫煙所整備を求める陳情が約70件寄せられ、受け皿不足が浮き彫りとなった。市はこれまでに約400カ所の喫煙所を確保したとしているが、民間からの寄贈やパチンコ店の喫煙所の一般開放など、多様な手法に頼ってきたのが実情だ。

 こうした中、大阪市商店会総連盟は独自調査を基に、市内全域で837カ所の喫煙所が必要とするレポートを公表。過度な設備にこだわらず、簡易な灰皿の設置など現実的な方策も示した。さらに同連盟は先月23日、喫煙所整備補助金制度を創設し、傘下商店会への募集を開始した。

 補助制度は、各商店街が簡易灰皿を含む喫煙所を設置した場合、1カ所当たり年間4万8000円の維持管理費を支払う内容。設置前後のポイ捨て状況を外部企業に調査委託し、事業報告書を作成した上で市に政策提言を行うとしている。同連盟はホームページで〝本来行政が担うべき公共的機能を民間に依存している〟と訴え、負担増に苦しむ商店街の現状を指摘する。

 実際、条例施行後は喫煙所不足から、顧客流出やポイ捨て、火災防止の観点で自費設置に踏み切る商店街も増えているという。

 喫煙所の必要数を巡っては、研究者からも踏み込んだ試算が示された。近畿大学経済学部の村中洋介准教授は、地図や人の移動データを基に混雑状況を分析する「混雑統計®」を活用し、市内公共空間に必要な喫煙所数を3607カ所と算出した。研究成果は自治体財政を扱う専門誌『地方財務』(ぎょうせい刊)2025年12月号から3号連載で掲載されている。

 人流データとは、携帯電話の位置情報などから人の動きを統計的に把握する手法。村中准教授は、喫煙者の1日の行動や喫煙回数を前提に、繁華街だけでなく住宅地も含めた〝面的整備〟の必要性を指摘する。北区、中央区、浪速区の人流が集中する地域では、500メートル四方当たり20カ所以上が必要とした。

 市が条例施行前に想定していた必要数は140カ所だった。商店会側の837カ所、研究者試算の3607カ所と、算定根拠によって大きな開きがある。

 環境美化を掲げる条例の実効性を高めるには、単なる規制強化だけでなく、現実的な分煙インフラの整備が欠かせない。行政と民間、研究データの乖離となっている要因を明確にし、どう擦り合わせ、市民の納得を得られる水準を導き出すか。条例2年目を迎えた大阪市のかじ取りが問われている。

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