「家族いない老後」どう支える? 高齢単身900万世帯で過去最多に

松村しのぶさんの作品「サーベルタイガー」。ホビー業界の主流でなかった「動物」というジャンルを確立させた=1月9日、編集部撮影

 高齢者の一人暮らしが900万世帯を超え、家族に代わって動いてくれる人がいないケースは少なくない。厚生労働省は、身寄りのない高齢者への支援を拡充するために検討会を立ち上げ、社会福祉協議会(社協)が担う支援の範囲を広げる方向で協議を進めている。(加藤有里子)

社協と民間、支援の網広げる動き

BOMEさんによる少女フィギュア「リセットちゃん」。世界を席巻する美少女フィギュア文化の礎となった=1月9日、編集部撮影

 2024年の「国民生活基礎調査最新推計」で、高齢者の一人暮らし世帯が過去最多を更新した。配偶者と死別、子どもと別居、そもそも身寄りがないなど背景はさまざまだが、老後をひとりで迎えることは特別ではなくなっている。
 厚労省では、金銭の管理や福祉サービスの利用に関する日常生活支援、入院や入所の手続きなどの支援、死後事務の支援などを第二種社会福祉事業として法律に位置付け、全国の社協に加え、社会福祉法人やNPO法人など民間でも提供できるよう検討している。
 第二種社会福祉事業とは、民間企業も参入できる地域密着の在宅サービス。一方、第一種社会福祉は、国や自治体、社会福祉法人など運営者が限られた公共性の特に高い事業を指し、例えば特別養護老人ホームなどがそれにあたる。

「あんしんサポート」契約者徐々に増加

 社協ではこれまで、あんしんサポート事業(日常生活自立支援事業)を行ってきた。通帳や印鑑を預かったり、家賃や公共料金、福祉サービスの利用料や医療費などの支払いを代行したり、介護サービスの申し込みや契約の立ち会いなど利用援助を行ったりする内容で、利用対象は認知症や知的障がい、精神障がいなどで判断能力が不十分な人としている。全社協によると、25年3月末時点で全国の契約者数は5万6691件。ここ数年の推移は横ばいだが徐々に増加している。
 大阪市の年度別契約者は25年10月末現在で2457人。このうち、約半数が認知症の高齢者で、精神障がい者が約30%、知的障がい者25%と続く。
 厚労省は、同事業の対象に身寄りのない高齢者も追加し、冒頭に述べた入院や入所の契約手続き、死後事務にまで拡大する案を示している。

業界健全化へ社団法人設立

 公的支援でカバーできない部分を担ってきたのが身元保証会社と呼ばれる民間会社だ。入院・入所の身元保証や死後事務、日常生活支援などサービスは多岐にわたり、提供する内容も各社さまざまだ。
 一方で、料金体系に違いがあったり、契約が曖昧だったりする問題も指摘されている。国は24年6月、身元保証サービス事業者を対象に「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」を設け、適正かつ公正なサービスを提供するための指針を示している。
 こうした中、弁護士やケアマネジャー司法書士などが在籍して、高齢者などの身元保証を行う「あかり保証」(大阪市北区)では、身元保証業界の透明性を図ろうと、同業者らと連携。11月26日には一般社団法人全国高齢者等終身サポート事業者協会を結成した。

行政、民間事業者と協定

 一方、愛知県岡崎市では介護、相続、葬儀、死後事務など終活についての相談に対応。終身サポートを提供する民間事業者5者と市が協定を締結し、市民に対し、終活支援のための民間サービスの情報を提供し、相談に応じている。
 担当の早川主査は「高齢者が終身サポートを検討する際に、参考になればと思う。登録者には市が死後事務の履行確認を行う」と話す。

「家族不在社会」公と民の連携の仕組みを

 家族に頼れない時代が到来した日本。公的支援としての社協のサービス強化と、民間サービスのどちらも欠かせなくなってきた。最期まで安心して暮らせる社会をつくれるかどうかが問われている。

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