英語教育の早期化が進む中、小学生のうちから実用英語技能検定(英検)の上位級を目指す動きが広がっている。日本英語検定協会によると、2025年度の小学生受験者数は約38万人。少子化にもかかわらず、約10年前(14年度)から1.5倍(統合報告書2026)になっており、特に3級以上の上位級を受験する児童の伸びが顕著だ。背景には、高校や大学受験だけでなく、中学受験での「加点」や「試験免除」などの優遇があることが大きい。(礒見愛香)

少子化にもかかわらず受験者は10年で1.5倍
府立高受験で始まったブーム
受験者の低年齢化が進む英検。大阪では、府立高受験で英検2級を取得していれば当日の英語入試で80%の得点保証(28年春の入試からは70%)が得られる制度が2017年度にはじまって以降、上位校を目指す生徒に「中学3年の時点で2級取得」の動きが活発になった。
府立の上位校は当日の入試に、ABCの3段階ある試験の中で最も難しいC問題を採用していることから、英検の得点保証が大きな役割を果たしてきた。加えて、英語得点があらかじめ保証されていれば、受験勉強の時間を英語以外の教科に費やせられる理由もあった。
実際に26年度入試では、北野や天王寺など文理学科を設置するトップ10校の受験者4681人のうち、7割弱にあたる3152人が英検2級以上を取得して受験にあたっている。なかでも北野は受験者452人の97%にあたる438人が2級以上を取得しており、1級と準1級レベルも60人いた。

さらに進む低年齢化
これまでは中学に入ってから英検受験をスタートし、級を順にステップアップしていく流れが一般的だったが、最近ではさらに早期化が進んでいる。
大阪市北区の英語教室「アルクKiddy cat大阪福島校」の仲田典子さんによると、「小学低学年から受験する動きが見られるようになった。英語が得意な子は小学生のうちにすでに準2級を取得している」と明かす。
背景には、中学受験の存在がある。私立中では英検の取得級によって加点や試験免除をしている学校が多い。中学受験は小学3年の冬から検討し、塾に通い始めるケースが多いが、並行して英検対策も進める動きが見られるという。
受験方法も多様化
英検には協会が設置する「本会場」のほか、学校や塾などが設置する「準会場」がある。準会場は協会が認めた団体が設置する試験会場で、学校や塾などの所属団体を通じて申し込む仕組みだ。近年は一般受験者を受け入れる準会場も増え、外部の受験生に向けた短期対策コースを設けるケースも見られる。
準会場は通い慣れた学校や塾で受験できるのがメリット。また、本会場と異なる日程の場合もあり、同時期に本会場と準会場を合わせて2回受験することもできる。
さらに、受験機会を増やす方法として「英検S─CBT」もある。全国のテストセンターなどでコンピューターを使って受験する方式で、多くは毎週土日に実施されている。級や地域によっては毎週でない場合もあるが、従来の会場での受験よりも受験日が選びやすい。さらに、従来型では筆記とリスニングの1次試験と、面接(スピーキング)の2次試験が別々の日程になるが、S─CBTは1日で4技能全てを受験できるのも特徴だ。
ただ、S─CBTの場合はスピーキングが録音形式になるため、対面でのスピーキングの方が得意な子や、時間がきっちり決まっていると焦りやすい子には、従来型の方が向いている場合もある。加えて、一度に4技能の全てを対策して挑まなければならない。

英検ワンポイントアドバイス
英検は、リーディング、リスニング、ライティング、スピーキングの4技能が求められ、対策する範囲も広い。そこで、子どもの英検指導に取り組む各スクールに、英語学習のコツを聞いた。
▼アルクKiddy cat英語教室大阪福島校 仲田 典子先生
「コツコツ勉強」が何より大事です。朝に15分、夜に15分の単語勉強で、基礎を作りましょう。単語力をアップすることで、読解力にもつながります。あわせて、1日1本英文を読んで英文に慣れるのもおすすめしています。
▼ペンギンイングリッシュスクール ロミ先生
対策次第で高得点を狙いやすいのは英作文。ただ、英作文につまずく子は、英語力以前に「自分の意見を書くこと」が苦手なケースが多いです。時事トピックに対して自分の意見を考える、という習慣をつけるといいでしょう。
▼プライモ Englishスクール 後藤 麻里先生
フォニックス学習を活用して単語を読む力を固めると、学習の効率が上がり、正しい発音も身につきます。
また受験する級のさらに一つ上の級を見据えて学習すれば、着実な基礎が身につき、上位級の取得もスムーズです。

