外食分野の特定技能1号を巡り、制度運用の転換が現場に波紋を広げている。法務省は、同分野における新規受け入れを4月13日以降、原則停止すると発表した。在留者数が受け入れ上限に迫ったためで、外食業界では採用戦略の見直しを迫られている。
上限到達が引き金、試験も停止
農林水産省などによると、外食業分野の特定技能1号在留者数は同年2月末時点で約4万6000人(速報値)に達し、5月には上限の5万人を超える見通しとなった。このため、4月13日以降に申請される在留資格認定証明書交付申請(海外からの呼び寄せ)および在留資格変更許可申請(国内での転職)は原則不許可となる。あわせて、同分野の資格試験も停止される。
ただし、すでに外食業で就労している外国人の在留期間更新は引き続き認められる。同一分野内での転職も更新対象となるため、企業間での人材獲得競争が一段と激化する可能性がある。
停止措置の法的根拠は入管法7条の2および分野別運用方針に基づくもので、農林水産大臣の要請を受けて法務大臣が実施した。期間については最長で2029年3月末まで続く可能性がある。
急拡大した外食分野、今や「中核人材」に
外食分野における特定技能外国人は近年急増していた。制度開始の2019年6月から2022年12月末までの累計は約5000人にとどまっていたが、2023年以降は半年ごとに5000人超のペースで増加。2025年7月から12月末までの半年間だけでも約8000人が新たに加わるなど、急拡大していた。
当初はパート・アルバイトとしての採用が中心だったが、3~5年と就労を継続する人材が増加。近年では「店長候補として採用できる」との声も出ており、外食業における外国人材の位置づけは補助的な戦力から中核人材へと変化しつつある。なお、病院や福祉施設の給食業務も外食業分野として扱われるため、地方の医療施設などで人手不足が深刻化する懸念もある。

企業に求められる採用戦略の転換
こうした状況を受け、外食企業の間では「内定済み人材の扱いをどうするか」「今後の採用をどう立て直すか」といった問い合わせが相次いでいる。飲食業界に特化した人材サービス会社「クックビズ」(大阪市)のグループ会社で、特定技能外国人の紹介・登録支援を手がける「ワールドインワーカー」(東京都)は4月10日、杉田昌平弁護士を講師に迎え、今回の受け入れ停止措置に関する緊急ウェビナーをオンラインで開催。採用戦略の見直しが迫られる企業の切迫した状況がうかがえた。

新規受け入れが止まる中、同業他社からの転職者の確保や、他の在留資格(日本の大学を卒業した外国人など)を活用した採用など、企業には戦略の転換が求められている。
