
まもなく臨床開始
大阪関西万博のコモンズ館Fにあるカザフスタンパビリオン。そこに同国で開発された革新的な装置「ALEM」(Astana Life Ex-situ Machine)が展示されている。ALEMはドナー臓器の保存、治療、輸送を目的とした世界最先端医療技術。臓器を体外で24時間以上にわたり、生理的条件に極めて近い環境で機能させ続けることができる。
同国でこうした技術が開発された理由は、日本の約7倍となる国土面積の広さがある。移植用の臓器は平均してわずか4~6時間で機能を失い始めるが、同国は地域間の移動に数百~数千㌔を要する。天候やインフラに輸送も大きく左右され、時間制限がボトルネックになっていたためだ。
2022年以降、動物実験で42件の前臨床手術を実施し、心臓、肝臓、肺における実験で有効性を確認。24時間以上の臓器の生命維持・機能保持・治療実施が可能であることが証明されている。現在、初の実臨床使用に向けた準備が進められており、生産拠点の建設もスタートしているという。
万博ではパソナ館にあるiPS心臓が大きな話題になっているが、その実用化は2050年頃。カザフスタンのALEMは来年か、早ければ今年中にも臨床使用を開始するという。
