入門53年目を迎え、弟子と孫弟子計9人で一門を形成する上方落語家、桂文福が3月31日自身の72回目の誕生日に「昭和百年!! 六回目の当たり年!! 文福恩返し寄席」と銘打って上方落語協会の本拠地、天満天神繁昌亭で落語界を開く。

今年は昭和100年に当たり自身は年男、更に「終戦から80年、阪神・淡路大震災から30年と何かと世の中の節目に当たる」事から「今まで私の一門をはじめ五代目文枝一門が長くお世話になった方々に何か恩返しを」と計画。今回の落語会をスタートとして約1年掛け、生まれ故郷の和歌山をはじめ愛媛、秋田、宮崎など縁のある地を回り、千秋楽は1年後の来年3月に駆け出し時代世話になった大阪キタの太融寺で打ち上げる計画。

文福は落語以外でも関西演芸協会役員として大道芸や古典芸能の育成に力を入れており、周辺芸人の顔ぶれは豊富。31日も最も尊敬する上方最古参噺家・桂福団治をゲストに、弟子のぽんぽ娘、弟子で実子の鹿えもん、変面マジックショーの亜空亜SHIN、けはや相撲甚句会が共演。毎回の企画構成は寄席芸に詳しい三栄企画が担当し、順次開催場所も増やしていく計画。「もうけは考えてません。夜だったら足代と泊まるとこ、昼で帰れる場所だったら足代だけ出してくれはったら、どこでも行きまっせ」と意欲的。会場の広さと経費内で出演できる人数をそろえて毎回のメンバーを編成。「僕は落語だけでなく河内音頭や昭和歌謡もやれますんで独りだけの時でもにぎやかでっせ」とPR。

「こんな歳でっけど、ユーチューブも月刊で一門ニュース新聞もやってます。五代目文枝一門として明るい話題を提供したいでんなぁ。総領の六代文枝兄貴は80歳過ぎてもあれだけ熱心に全国回ってはる。次の小文枝兄貴も能登半島支援チャリティーでコツコツ全国を。人気の文珍兄貴は大阪フェスティバルホール満席の独演会でっせ。僕はようマネせんけど、兄貴たちの活躍に刺激を受けました」と意気込んだ。

相撲といえば、大相撲春場所が開催中。気になる力士を問われ「花のなにわに~春を呼ぶ♪ 待ちに待ったる大相撲♪」と得意の相撲甚句を即興で披露、仲の良い阿武松部屋(師匠、元前頭・大道)所属で自己最高位の西前頭12枚目を2場所連続で維持している日本体育大OBで元学生横綱の阿武剋(おうのかつ)を挙げ、エールを送った。
(畑山 博史)