多様性を力に変える 八尾北高の共生教育

 大阪府立八尾北高校(八尾市)は、「一人一人を大切にする」との教育理念の下、外国にルーツを持つ生徒や障がいのある生徒など多様な背景を持つ若者が共に学ぶ場として注目を集めている。それぞれの特性に応じた学習環境を整える同校の取り組みを取材した。(森実花)

支援は〝共に学ぶ橋〟 多彩な学びで進路開く

 総合学科を設置する同校は、多様な生徒が同じ空間で学べるよう段階的な支援を行っている。日本語指導が必要な生徒には基礎的な語学力を補う授業を実施し、習熟度に合わせて通常クラスへ合流させる仕組みを整えている。また教員が「やさしい日本語」を用いたり、視覚的に分かりやすい板書を工夫したりするなど、誰もが取り残されない授業づくりを徹底している。

生徒の作品にもなっているパンフレット表紙

 保護者からは「我が子に合った学びが見つかるかもしれない」との期待の声が寄せられている。山口勝久校長は「支援は生徒を分離するものでなく、共に学ぶための橋渡しです」と話す。本年度はスクールカウンセラーの重点配置もされ、生徒一人一人の特性など、目に見えにくい内面的な課題にも寄り添う体制を整えている。

山口勝久校長と八尾北高校のマスコット

100以上の選択科目で〝マイ時間割〟

 総合学科を設置する同校は、100以上の選択科目から自分に合った学びを選び、「マイ時間割」を組めるのが大きな特徴だ。進学や就職、専門分野の探求につながる実践的な科目も豊富で、生徒一人一人が「自分にあった進路」を見つけ「自分らしい未来」を描く力を育んでいる。

 また、カリキュラムの随所に人権学習が組み込まれている点も特徴だ。その一つとして性的マイノリティーをテーマにした独自教材を作成。「性同一性障害」に悩み苦しんだ経験を持つ長崎アンナさん自身が語りかける内容で、それぞれに意見を交わす機会を設けている。
 山口校長は「こうした学びは、本人自身の成長だけでなく、他社を思いやる力の育成にもつながっている」と話す。違いを認め合い、多様性を力に変える同校の取り組みは、誰もが安心して学べる教育現場のモデルケースとなりつつある。

学校案内パンフレット写真より
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