「夜回り先生」水谷修氏、70歳の決意 全国100校へ「いのちの講演」を届けるプロジェクト

 「夜回り先生」の愛称で知られる水谷修氏が、全国の子どもたちに直接「いのち」の尊さを伝えるため、100校での講演実施を目指すプロジェクトを開始した。今年70歳を迎える水谷氏は、残された時間の中で一人でも多くの若者を救うべく、クラウドファンディングを通じた支援を呼びかけている。

36年の歩みと「102人、303人」の痛み

 水谷氏は、かつて「日本一荒れている」と評された夜間定時制高校の教員となったことを機に、36年間にわたり深夜の街を歩き続けてきた。これまでに関わった青少年の数は105万人を超え、相談メールは150万通にものぼる。しかし、その活動の裏には深い悲しみがあった。水谷氏はこれまでに、薬物によって102人、心の病によって303人もの教え子たちを亡くしてきた。そのたびに「なぜ救えなかったのか」と自責の念に駆られながらも、「先生、ありがとう」という子どもたちの声に支えられ、活動を続けてきたと語る。

「起きる前」の出会いが命を守る

 長年の経験から水谷氏が確信したのは、「問題が起きてからではなく、起きる前に出会うこと」の重要性だ。特に学校での直接の講演は、子どもたちが薬物を拒絶し、もう一度自分を信じて歩み出すきっかけを作る上で、最も効果的な方法だった。現在、不登校やいじめ、自傷行為、さらには若者のオーバードーズ(過剰摂取)といった深刻な危機が教育現場の限界を超えつつある。水谷氏は、社会全体で子どもたちを支える参画が必要であると説き、講演を通じて子どもたちの自己肯定感を回復させることを目指している。

予算の壁を越え、全国の学校へ

 しかし、多くの学校現場では「講演を実施したくても予算がない」という現実的な壁が立ちはだかっている。水谷氏自身、これまで自費を投じて講演を続けてきたが、その資金も限界に近づいていた。今回のプロジェクトは、クラウドファンディング(Readyfor)によって資金を募ることで、予算のない学校へも無償で講演を届ける仕組み。

 水谷氏は「一つでも多くの学校に、一人でも多くの子どもたちに、命の話を届けたい。それが未来の誰かの人生を守ることにつながる」と、強い決意を込めて語る。次世代を担う子どもたちの未来を守るための「社会投資」として、プロジェクトへの参画の輪が広がることが期待されている。 支援方法はクラウドファンディングサイト「Readyfor」内の専用ページ(https://readyfor.jp/projects/168343)より支援を受け付けている。

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