N高グループ中高生、老舗ベーカリーと共同開発 期間限定「みたらしコッペ」企画販売

「まだこの世にないパン」挑戦 試行錯誤7回、アイデアを形に

小林建登さん(N高・1年)とダイヤの多田さん(取締役 統括本部 本部長)

 1月2日から31日までの期間限定で、角川ドワンゴ学園N高等学校、S高等学校、R高等学校、N中等部の中高生が、大阪で今年80周年を迎える老舗ベーカリー「クックハウス」と共同開発したパン「みたらしコッペ」を、大阪府、奈良県内のクックハウス全店で販売している。

共同開発した「みたらしコッペ」、価格は324円。

 商品誕生の背景には、クックハウスを運営するダイヤが実施した体験学習プログラム「〝こんなの、あり!?〟なパンを君の手で!!」がある。全国から集まったパン好きの中高生38人が参加し、全7回にわたりオンライン講義や工場見学、店舗での市場調査などを体験。8チームに分かれ、「まだこの世にないパン」の商品企画に挑戦した。

 商品名から「みたらし団子入り」を想像しがちだが、実際に団子は使われていない。ホイップクリームときなこペースト、みたらしのタレを組み合わせることで、みたらしの風味を表現している。企画当初、生徒たちは30~40代女性をターゲットに、パイ生地をミルフィーユ状に重ねたいちごサンドを構想していた。しかし、「製造ラインに乗らない」という現実的な指摘を受け、方向転換を迫られた。

 そこで着目したのが、パンと組み合わせた際の意外性だった。「みたらし団子」をモチーフに再構築し、試行錯誤の末に生まれたのが「みたらしコッペ」だ。商品は当初から現在の形だったわけではない。試作を重ねる中で、オムレット型は生地が固くなりやすく、コロナ禍以降に導入された個包装では見た目が崩れてしまうという課題が浮上した。売り場での見え方まで考慮した結果、最終的にコッペ型に落ち着いた。

 社員案も並ぶ商品会議では、学生が考えたからといった忖度は一切ない。見た目や味、形のみで評価され、最優秀賞は別の作品だった。それでも最終的に選ばれたのは、改良の余地があり、実際の店舗販売に適した「余白」のあるアイデアだったという。

 ダイヤ取締役で統括本部長の多田さんは「和の商品にはあまり挑戦しない社風だが、生徒さんたちの提案によってチャレンジすることができた」と語る。一方で、共同開発ならではの難しさもあった。N高グループの生徒は全国各地にいるため試作品を送ることが難しく、「試作段階では生徒さんに試食してもらえず、社内で『ああでもない、こうでもない』と5回ほど試作を重ねた。もし生徒さんにも召し上がってもらっていたら、試作回数はもっと増えていたかもしれない」と笑顔で振り返る。

 完成した商品を店頭で目にした考案生徒の一人、小林建登さん(N高・1年)は「長く愛されてきたクックハウスさんの、優しくしっとりとした生地があるからこそ完成した商品。本当に楽しかった」と話す。発売後、友人とともに店舗を訪れ、率直な感想を交わした経験は、教室では得られない学びとなった。

 売れ行きも好調で、近鉄あべのハルカス店(大阪市阿倍野区)では1日30~40個が安定して販売されている。生徒たちのアイデアが実際の売り場で受け入れられていることを示す結果だ。パンづくりを通してアイデアを形にし、社会に届ける。「みたらしコッペ」は、N高グループの中高生が実社会と向き合いながら学んだ成果の一つといえる。価格は324円(税込み、テイクアウト)。

■角川ドワンゴ学園N高等学校、S高等学校、R高等学校 https://nnn.ed.jp/
■クックハウス https://www.cookhouse.jp/

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