師匠は2018年に他界していた「枝鶴が語る五代目の”最期”」

 上方落語大名跡〝笑福亭松鶴〟(六代目は1986年68歳で死去、七代目は96年44歳で死去した松葉に追贈)への出世名として位置付けられる〝枝鶴〟の六代目(67)が「芸歴50年記念」として独演会などを3カ所(6月26日・天満天神繁昌亭、9月14日・心斎橋角座、10月19日・新宿永谷ホ-ル)で開くことを発表。

 席上、六代目松鶴の実子で自身の師匠だった五代目枝鶴が「2018年1月に72歳で亡くなりました」とあきらかにした。五代目枝鶴は度重なるトラブルで1987年廃業、関係者にも消息を絶っていた。公表が遅れた理由について「仁鶴兄さん(21年、84歳で死去)がずっと師匠(五代目枝鶴)の事を気に掛けていた。体調がすぐれなかった兄さんの耳には入れたくなかった」と胸の内を明かした。

「先代はすでに亡くなりました」と明かす枝鶴

 上方落語にしかない笑福亭一門の将来について「私が枝鶴を名乗っていますが、八代目(松鶴)は絶対にありません」と前置きし「六代目が亡くなって来年で40年。復活させないといけません」と提言。自身の経験を踏まえ「大名跡を名乗るのは東西どちらの落語界でも大変なプレッシャー。できれば次の松鶴は40歳代ぐらいで襲名してじっくり自身の芸風を確立してほしい。そういう意味では七代目松喬(64)世代では遅いと思う。次の枝鶴はそれこそ20歳代でもいいぐらい」と持論を展開。

門の将来について言葉を選びながら語る枝鶴

 現在の適任者について考えを問われ「個人的には(3年兄弟子の)鶴瓶兄さん(73)だと思いますが、もう少し隙が欲しい。ニン(大阪弁で〝生まれつきの性格〟を指す)なんでしょうな」と分析。

50周年の演目は「まだ全部出来上がっていません」と笑顔で話す枝鶴

 40代で松鶴につながる松竹芸能所属の上方落語家では鶴瓶の弟子・鉄瓶(46)が、6月21日放送のNHK大阪放送局制作ドラマ「桂米朝なにわ落語青春噺(ばなし)」で六代目松鶴を演じている。枝鶴は「1番なってほしないのが鉄瓶。アイツ、テレビで松鶴師匠演じてるからね。こないだの一門総会でも『お前だけはアカンで!』って言ってます」と暗くなりがちの話題へのオチとしていた。

心斎橋角座でのポスターを横に「自前で劇場があることは素晴らしい」と語る枝鶴

(畑山 博史)