日本人の1~2%、約120万に発症するという脱毛症。宮脇桃花さん=高校3年生=もその一人だ。3歳半に発症。幼少期には心無い言葉に傷つき、自分が嫌になったこともあったという。しかし、脱毛症の患者の会へ参加した際に、〝ありのままの姿〟で過ごしているモデルの人と出会い考え方が一変した。「とても素敵だ」と感じ、自分もそうありたいと思ったのだ。同時に、脱毛症の悩みに何かできることはないか、と考えるようになったという。
転機になったのは、高校2年生時に出されたビジネスアイデアを考案する課題だった。以前から「あればいいな」と感じていた、「もみあげの商品」を開発することにしたのだ。
「昔から、ウィッグを着けている時に、もみあげがないと不自然に見えると感じていました」と宮脇さん。ところが解決するためのグッズを探しても、市場には手頃なものがない。それなら自分で作ればいいと動き出すことにしたのだ。実際にアンケート調査をしてみても、「もみあげが気になる」との回答が多く集まった。需要は確実にある。では、どうするか?ヒントになったのが「眉毛タトゥーシール」だった。水に浸して肌に当てれば、シール状の眉毛が付くというもので、「もみあげ」にも展開できると着想に至った。
こうして誕生したのが「もみあげタトゥーシール」だ。人工毛のもみあげはリアルだが、カラーバリエーションが少ないため特定のウィッグにしか合わず、長さの調節も難しい。価格もネックだ。一方シールならウィッグに合わせて色をつくることができるため、おしゃれの楽しみも大きく広がる。女性ならではの感性が光る。扱いも簡単・気軽で安価なのもメリットだ。
安全性の立証などの手続きから、本格的な製造・販売はまだ先になるが、すでに「欲しい」という声が届く。実用新案の申請にも取り組み、「多様性が叫ばれながら、未だに容姿で偏見される時代です。悩む人たちが安心して使える物を早く届けたい」と起業に向けて意気込みを見せる。
(紙面・女性起業家特集より抜粋)
■大阪府立大阪ビジネスフロンティア高等学校 大阪市天王寺区烏ケ辻2丁目9−26
「もみあげタトゥーシール」 チーム名:This is “ME”