消えた対策費77兆円の真実 「コロナ自粛と感染抑制は無関係」 「自粛」の効果検証を発表

 藤井聡氏(京都大学大学院工学研究科・都市社会工学専攻教授、京都大学 レジリエンス実践ユニット ユニット長、日本モビリティ・マネジメント会議(J COMM)代表理事)と、元長尾クリニックの院長で、関西国際大学客員教授の長尾和宏氏による講演会が、2月25日、神戸文化ホール大ホールで行われた。春雨が降る中、625人が会場に詰めかけた。「新型コロナと政治~消えたコロナ対策費77兆円の真実~」をテーマに、3部構成で繰り広げられた。(加藤有里子)

藤井聡氏
藤井聡氏
長尾和宏氏
長尾和宏氏

「ワクチン被害ではなく健康被害」

 第1部は、「政治とワクチン」と題して長尾和宏氏が登壇。昨年までコロナ患者やワクチン後遺症患者を診察してきた中で、ワクチン接種者が体調不良を訴えるケースが急増していった当時の状況を伝えた。「2020年当初はイベルメクチンを推奨していた政府は、21年からはイベルメクチンをなかったことにして、コロナワクチンを特例承認した」と痛烈に批判した。
 コロナワクチン副作用に関する論文が3000件以上発表され、日本国内において死亡認定者数が523件(3月28日現在)にものぼる。「ワクチン被害とは言わず、もはや健康被害だ。おかしな方向に進んでいる日本を止めたい」と熱く語った。

感染拡大第一波時の「移動量」と「感染者数」
藤井聡氏の「コロナ自粛についての効果検証:自粛がCOVID-19感染抑止に寄与しているという仮説は統計学的に否定された」
資料をもとに作成

「致死率より報道に強い影響」

 つづいて第2部は「崩壊寸前の日本経済と政治~コロナとは何だったのか~」について藤井聡氏がデータを示ながら6つの事柄について解説した。
①「日本は欧米にくらべて圧倒的にコロナの被害が小さかった」
 100万人あたりの死者数の推移が圧倒的に少なかったことをデータを照らしながら説明。
②「それにもかかわらず徹底自粛していた」
 藤井氏は「日本は政府や厚生労働省、専門家によって徹底自粛となった。同じく死亡者数が少なかった台湾や韓国では自粛していなかった」と批判した。
③「しかし自粛による感染抑止効果なし『自粛が感染縮小をもたらす』という仮説は統計学的に否定された」
 藤井氏の研究室では、厚労省の「新規陽性者数」とCOVID─19の影響で人々の移動がどのように変化したかをデータ化した「グーグルのコミュニティ モビリティ レポート」を用いて調査した。感染拡大すると皆が自粛し、収まるまで自粛を続けるので、見かけ上は自粛と感染抑止が相関する結果となった。だが、緊急事態宣言が出されている間は、感染が収束するものだが、例えば第一波では自粛したのに感染が拡大していた。「陽性者数の増加率が『単位根過程』かどうかを検証して、単位根過程なら陽性者数の増加率の差分で検証した。すると、自粛と感染抑制が無関係であることが分かった」(藤井氏)
 さらに、コロナに対する警戒度は、「60歳以上の致死率よりも報道によって強い影響を受けていることが分かった。報道機関が自粛を呼びかけていたことが起因している」と斬った。
④「経済被害が甚大だった」ことや⑤「政府による対策はなかった」と述べ、⑥背後には「過剰医療拡大」の問題があり、社会的健康被害ではないかと見解を示した。
 第3部は長尾氏と藤井氏による対談が行われ、コロナ対策費77兆円がいったい何に活用されたのか、国は国民に対して詳細を示していないと批判。不可解な世の中だが、考えることをやめると全体主義に向かってしまう。考える能力がこの国を変える一助になるのではないかと投げかけた。