2022年度の関西圏(2府4県)の私立中学入試の受験者数は1万6892人で187人減ったが、受験率は逆に9・74%と0・1ポイント増え、2年ぶりに高い受験率となった。コロナ禍で落ち込むのではないかと不安視されたが、中学受験界の基礎体力が確実に上昇し、あらためて中学受験への根強い人気を証明する結果となった。一方で、受験者の動向に目を向けると22年度入試は受験者の「安全志向」が働き、難関校への志願者が減る結果となった。
あらためて「私学の良さ」
児童数の減少から、中学受験者が減るのではないかと予想されていたが、ふたを開けてみると、「それほど落ち込みませんでした。コロナ禍の対応を見てブレない教育、私学の良さを認識した保護者が多かったからだと思います」と私立中の受験担当者らはみている。また、大学付属校人気も右肩上がりではなかったが、全体には堅実だった。
コロナ禍によって、私学の価値が再認識されたことも見逃せない。
2020年のコロナ休校期間に、「子どもたちの学びを止めるな」と日本中の学校がその対応に追われた。オンライン授業やオンラインホームルーム、オンライン部活動などで対応し、家庭に端末や通信環境がない生徒には、パソコンやWi─Fi機器の貸し出しを行う学校もあった。ただ、公立校は私学に比べると全体的にICT環境の整備で遅れを取っている傾向があったため、実際にそれを実施できた学校は私学が多かった。あらためて私学の良さが浮き彫りになった格好だ。
関西の〝最難関校〟四天王寺校(上)と大阪星光学院
安全志向へ
一方で今年の関西の特徴は、安全志向だ。灘(神戸市)、甲陽学院(兵庫県西宮市)、大阪星光学院(大阪市)、さらに女子校の神戸女学院(兵庫県西宮市)、四天王寺(大阪市)と〝最難関校〟が軒並み受験者数が減少するケースが目立った。これはコロナ禍でより確実性を求め通学時間や心理的な「安全志向」が影響したのかもしれない。進学担当者からは「トップ層が安全圏を狙ったことが減少の一因となっている」と見ている。
受験生にメリットな入試制度
関西圏の2023年度の入試解禁日は1月14日に決まった。関西の中学受験の特色は「午後入試」の導入だ。22年には81校が実施した。さらに「コースの新設・改編」「選抜方法の多様化」「加点制度と科目選択制度の充実」「インターネット出願」などを実施している。
多くの学校は統一入試日の初日、あるいは2日目に入試日程を設定しているが、それでは受験生は最大で2校しか受験できないが、「午後入試」を導入することで、受験の機会を増やすことができるので受験生にとってはメリットだ。そして、2022年度入試では11校がコースの新設・改編を行っている。選抜方法も多様化し英語入試、 自己推薦型入試、 適性検査型入試、 思考力型入試など「国語・算数・理科」中心の学力以外にも自分の強みを生かした選抜方法が増えている。さらに、加点制度と科目選択制度の充実など評価軸を設けて受験生にチャンスを与える学校が増えている。インターネット出願も増え、昨年度は計113校、全141校のうち、約80%が導入。
プレテスト、今年も各校が実施
昨年は94校がプレテストを実施。今年はさらに増えそうだ。受験生にとっては、会場も時間も実際の試験と同じ条件で行われ、「入試本番と同じ環境を一度でも経験してその場に慣れておくことで、本番では緊張も少なくリラックスして試験に臨みやすくなります。」結果に対してていねいな解説やフィードバックを行う学校も多く、志望校が導入しているので受験のメリットは大きい。
※各説明会等の日程・内容などは、今後変更となる可能性があります。詳細は必ず各校のHPまたはお電話でご確認ください。
※下記日程・内容だけでなく、HP上で学校紹介資料等を掲載したり、オープンスクール・個別相談等を随時受付している学校もあります。
詳しくは、大阪私立中学校高等学校連合会ホームページ(https://www.osaka-shigaku.gr.jp/opencampus/images/R05_open_j.pdf)より