吉本新喜劇の上海公演が大盛況 到着後にホテルで〝中国の笑いの間〟について考えた

 中国で開催された「第9回上海国際コメディフェスティバル」で、アキ座長(54)率いる吉本新喜劇が臨港演芸中心で字幕付きで上演され、満員の観客は舞台横スクリーンの字幕を追いながらも〝笑いあり涙あり〟の新喜劇得意のストーリー展開に釘付け。客席を巻き込んだ演出や参加型ゲームなどもあり、上海市内などから集まった多くの観客から何度も大爆笑が起こった。

中国語字幕(右上)が出る設営で新喜劇を上演した「第9回上海国際コメディフェスティバル」

 吉本新喜劇は、同フェスティバルの2019年第5回にオープニング作品として参加しており、4年ぶりの上演。アキ座長は10月の吉本新喜劇座員総選挙で2回連続1位となったばかりで、座長として初の海外公演。

 今回の演目は「嵐を呼ぶスパッツ男」でアキ座長得意の音楽とダンスがふんだんに織り込まれた内容。アキ演じるスパッツ男・アキ助が、老舗旅館を切り盛りする兄(西川忠志)のもとへ3年ぶりに帰郷。しかしアキ助は、ある誤解から「逃亡犯なのではないか?」と疑われ、兄の婚約を破断にしてしまうことになり……。ホロリとさせられるストーリーの中に、「なにぃ~?」など、お決まりのギャグや黙って見つめ合うシュールな独特の間など、新喜劇特有の味付けがたっぷり詰め込まれた舞台に、客席は拍手と笑いで大盛り上がり。

 終演後アキは「とても貴重な機会を頂いた。上海到着後、深夜までホテルのテレビを座員と見ながら〝中国の笑いの間〟について考えた。お客さんが舞台横のモニターを見る間、笑いのタイミングが少し遅れるので舞台上で少し演出を修正したりもしました。来年もまたぜひ同じメンバーで上海に帰って来たい」と充実した反応にうれしそう。

 地元の報道陣から「中日関係が緊張状態にある中での公演について?」という質問も出たが、アキは「実際に来てくださったお客さんを見て〝笑いを愛している人が来てくれているなぁ〟と感じた。ニュースを見た感じと、実際に舞台で感じるものは〝違うな〟と。全然心配はなかった」と笑顔で対応。

終演後に現地メディアの取材に応じる新喜劇メンバー。左から西川忠志、アキ、末成映薫

 同社は2025年大阪・関西万博に向け〝外国人にも笑ってもらえる舞台〟を目指しており、今回は「吉本興業コメディスペシャル」と題し、新喜劇のほかにも4公演を実施。

 「コントの回」では、海外でも高い評価を受けているパフォーマーGABEZ、「バラエティショーの回」では「ブリテンズ・ゴット・タレント」で一躍世界的な人気を獲得したとにかく明るい安村が出演。「漫才の回」にはテンダラー、 「THE SECOND」王者のギャロップらが出演。クボケンのコミカルでインパクト満点のキャラクターと、トモの鋭く強いツッコミで人気上昇中の5GAPはコントとバラエティショーの両方へ。

 さらに「M-1グランプリ」と「キングオブコント」ファイナリストの男性ブランコは、コント、バラエティー、漫才の回に出演。19日には、今年デビュー30周年で自身初のアジアツアー初日公演として、陣内智則の単独公演も開催する。

(畑山博史)