「答えを探す」前に「問いをつくる」 賢明学院小、生成AIも活用した探究学習

 探究学習というと、疑問に思ったことをインターネットで調べ、答えをまとめる姿を思い浮かべるかもしれない。だが、賢明学院小学校(堺市堺区)が取り組む「KENMEI TIME」で大切にしているのは、調べ始める前の「問いをつくる」プロセスだ。写真を手掛かりに自分なりの疑問を生み出し、生成AIとの対話や友達との意見交換を通して、考えを広げていく。

 授業では、児童が写真を見ながら問いを考え、作成した問いを記録する。教員は、友だちとどんな問いを出したのか共有するよう促し、互いの考えに触れる時間も設けた。自分だけでは思い付かなかった視点に出合うことが、新たな疑問につながる。取材した授業でも、個人で考える時間と、他者との交流を通して視点を広げる時間が組み合わされていた。

 研究を担当する榎本裕司教頭補佐は、探究学習が、教師から与えられたテーマを調べるだけの「調べ学習」になりがちな点を課題と捉える。社会課題について知り、改善したいと思っても、自分で問いを立て、具体的な提案や行動に移すのは簡単ではない。こうした「思い」と「行動」の隔たりを埋めるため、問いをつくる力の育成に着目した。

 生成AIは、考えを深めるための「壁打ち相手」として活用する。教員が一人一人に十分な時間をかけて問いづくりを支援するのが難しい中、AIとの対話も手掛かりにしながら、児童自身が疑問を掘り下げていく。AIに答えを出してもらうのではなく、考える過程を支える手段として位置づけている。

 2026年度1学期には、5、6年生79人を対象に10回の実践を行い、児童の記録や事前・事後の質問紙を分析した。原因や背景、社会的な意味まで掘り下げる問いをつくれた児童の割合は、36.3%から75.3%へ上昇。一方、情報整理や文章表現、行動全体では明確な向上が確認できず、課題も残った。

 2学期は、問いをつくり、情報を多面的に整理した上で、根拠を示しながら具体的な提案を書く学習へと改善を進める。学校や家庭、地域でできる小さな行動につなげることも目指す。研究成果は、第52回全日本教育工学研究協議会全国大会(JAET2026)で1件、国際教育会議ICERI2026で2件の発表が採択された。

 知識を集め、答えを探すだけなら、生成AIが手助けしてくれる時代。だからこそ、何を知りたいのか、何を疑問に思うのかを自分で考える力が、これまで以上に重要になる。AIに問いを投げれば、情報も答えも簡単に得られる。だが、考えることまで委ねてしまえば、自ら課題を見つける機会を失いかねない。

 AIはあくまで思考を支えるツール。答えを受け取って終わるのではなく、問いを立て、情報を吟味し、自分なりの考えを組み立てる。AIと共に学ぶ時代に、子どもたちが自ら考える力をどう育むか。「KENMEI TIME」の実践は、その問いを私たちにも投げ掛けている。(西村由起子)

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