本紙編集長であり、もりぐち夢・みらい大使であるU.K.こと楠雄二朗は、この地域最大の魅力は〝人〟であると断言する。守口市と門真市にゆかりのある人々を紹介し、もりかどの魅力を再発見する本コーナー。
第二回は先日テレビでも取り上げられ、何かと話題の守口京街道エリアで小料理屋を構える「料理家 柳」の藤本由香さん。かつて東海道57番目の宿場町〝守口 宿〟として栄えたエリアでは、今もその名残が感じられる部分があるという。
転勤・出張族の食事を支える「料理家 柳」は現代の〝守口宿〟だった
─出身は?
藤本 熊本生まれの守口育ち。高校時代は守口市駅周辺のカラオケなどで友だちとよく遊んでいた。
─「料理家 柳」の由来は?
「柳」は、調理師学校生時代に夢中になったダーツから。当時、「柳包丁」にちなんで使っていた「柳」というダーツネームを店名にした。
料理〝屋〟ではなく〝家〟を使った理由は、かた苦しいイメージにしたくなかったから。「家」のように、気軽に人が寄れる雰囲気になるように願いを込めた。
─料理店を営もうと思った経緯は?
元々ものづくりは大好き。料理人という職に興味を持ったきっかけは、小さい頃から好きだった刑事ドラマだった。刑事ドラマといえば必ず出てくる小料理屋。あの独特な店の雰囲気に惹かれ、漠然と憧れていた。
5年ほど大型衣料品店の社員として働いた時期もあったが、売上で賞を取ったことで満足して退職。その後調理師学校へ通い、念願の小料理屋「柳」を開いた。
─オープンから11年。思い描いた理想の店になっているか?
満足している。常連のお客さんに恵まれ、支えてもらっている。
─いいお客さんに恵まれるというのは、藤本さんの人望に違いない。
そう言ってもらえるとありがたい。しかし、開店当初はなかなかお客さんがつかない厳しい時期もあった。元々の勝気な性格に加え、「女将として、店と従業員を守らなければならない」という気負いから、強気な接客をしてしまったこともあった。
それでもなんとか徐々に常連のお客さんが増え、味方がいてくれると安心できたことで、一人で肩ひじ張った接客をする必要がなくなった。自分一人で背負いこんでいた荷物を一緒に支えてくれたお客さんたちに感謝している。親友のように思っている。
─やはりお客さんは地元の人が多い?
実は守口出身者は少ない。転勤や出張などで全国から来ている。年齢も出身地もバラバラだが、自然とお客さん同士の輪ができ、店を通して交流が生まれている。
─まさに東海道五十七次における守口宿のようで興味深い。人気メニューは?
馬刺し。直接自分で交渉に赴き、最高品質のものを提供してもらっている。やわらかくて甘い馬刺しは、熊本から特別にチルドで直送してもらっている。おそらく守口ではここでしか味わえない逸品。ぜひ一度味わってほしい。
─将来の夢は。
近い将来、守口や門真の子どもたちが大人になって帰省したり集まったりするときに、「柳」に来てくれること。今は小さい子どもたちが成長して、わいわいと地元で飲んでいる姿を見るのが楽しみ。そんなときにみんなの「家」として、安心して集まれる場所を提供できるように頑張っていきたい。
企業情報
料理家 柳
守口市桜町2-21
電話06(6926)9976
九州から調味料や生の馬肉を取り寄せ、こだわりの手料理を提供する小料理屋。京阪守口市駅から徒歩3分。