本紙編集長であり、もりぐち夢・みらい大使のU.K.こと楠雄二朗は、もりかど地域最大の魅力は〝人〟であると断言する。守口・門真で活躍する「人」に焦点を当てて紹介する本コーナー。今回のゲストは、シンガーソングライター・強(つよし)さん。多くの人の心を揺さぶる歌声は一般のファンにとどまらず、プロアスリートの胸にも響き、厚い信頼を集めている。実は現在、守口市在住。地域と向き合いながら活動を続ける強さんに話を聞いた。

甲子園球児からシンガーソングライターへ
プロアスリートの心震わす歌声は、守口から
―守口の生活はどうですか。
大阪市都島区出身で、守口に住み始めたのは5年ほど前。暮らしてみて、街の〝ちょうど良さ〟に惹かれました。都心にも出やすく、自然もあって、子育てもしやすい。夏には近所の方たちと流しそうめんをしたり、子どもたちとプールをしたり。
―現在は音楽活動を中心にされていますが、もともとは野球一筋だったとか。
子どもの頃から野球一色の毎日でした。高校も強豪・平安高校へ進学。そこで全国の実力を目の当たりにしました。プロも多く輩出する学校で、僕が120%の力でやることを、60%でこなす選手ばかり。甲子園には代打として出場し、会場の熱気は今でも心震える思い出として残っていますが、試合が終わった瞬間、燃え尽きたような感覚を抱いたのも事実です。
―その後、音楽と出合われたんですね。
大学進学後、ある日ふと耳にした路上ミュージシャンの歌に心を打たれました。「これだ」と直感的に思ったんです。そこから音楽の世界に入り、ラップを中心としたクラブミュージックの活動を始めました。最初はお客さんが数人という状態でしたが、それでも「何かを届けたい」という衝動だけは消えなかった。甲子園で打席に立ったときのような、空気を変える手応えがそこにはあった。その感覚が僕を音楽に引き込んでいったんです。

―大きな転機になったのが、西岡剛選手との出会いだそうですね。
最初の出会いのきっかけとなったのは「カーテンコール」という曲でした。身近な人に向けて、〝またこの場所に帰ってこよう〟という思いを込めて書いたものです。その曲を西岡選手が耳にして、メジャー挑戦前の壮行会イベントに呼んでくれ、そこから交流が続いています。
―その後、他のプロアスリートの登場曲も手がけたんですよね。
そうなんです。「スーパースター」という曲を聞いた格闘家の皇治選手が、「自分のテーマソングとして使いたい」と連絡をくれて。歌詞を「皇治は俺たちのスーパースター」とアレンジして、RIZINの入場曲として提供し、ともに闘っています。

―スポーツ選手の心に響く音楽。その理由はどこにあるのでしょう?
僕自身がずっとスポーツをやってきたからこそ、彼らの葛藤や熱量に共感できる部分が多いのだと思う。上から励ますのではなく、同じ目線で「ともに戦う」気持ちを歌に込めています。
―今後、守口で挑戦してみたいことはありますか?
僕は、観客の顔が見える規模のライブが好きなんです。お客さんの顔が見えて、歌が心に届いた瞬間がわかる。昨年も土居商店街でライブをさせていただきました。これからも守口で、地域とつながりながら音楽を届ける場を増やしていけたらと思っています。「守口といえば強」と、少しでも思ってもらえるような存在になれたら嬉しいです。
強
2009年に音楽活動を本格始動。全国を旅しながらライブを重ね、アスリートを中心に支持を集める。代表曲は「スーパースター」「カーテンコール」「やんちゃ坊主」。
